2012年10月2日火曜日

ノースカロライナ州立大学のMichael Roe 教授を訪ねたら、ちょうど昼食が済んで研究室に戻ってきました。アメリカ政府は巨額の借金をかかえて、大学の予算を大幅に削ったので、個人個人であちこちにグラントを申請して予算を獲得しなければならず、大学にとっては非常な痛手で後退だとこぼしていました。それでも彼自身は博士課程の学生を10人、ポストドク(博士研究員)を1人、テクニシャン(技術職員)を3人かかえているとのことでしたので、潤沢な研究費を持っているのでしょう。
トマトの成分から見つけて、特許をとって、商品化して販売し始めた蚊、ハエ、ダニに対する忌避剤 BioUD(という商品名)は対抗商品のディートが値段も安く、先行して普及しているので、苦戦をしているようでした。Walmart(ウオルマート)という全国展開のスーパーの棚に試験的に2年間並べてもらったけど、ディートの方が定着していて予想したほど販売実績が上がらなかったので、戻されてしまったとのことでした。私が日本に帰ったら、ディストリビューターを見つけてみるということにしました。その代わりよく売れて億万長者になったら、ビル・ゲイツ財団のようにマイク・ロー財団を作って社会に還元してほしいと言ってきました。

その後、センテニアル(百周年記念)キャンパスにある毒性学科のErnest Hodgson 教授のところに連れていってくれました。ホジソン先生は80才になられて、あちこち体調の悪いところもでてきたようですが、まだまだお元気で学会誌の編集をしたり、本を執筆したり、マイク・ロー教授と共同でグラントの申請をしたりしておられるようでした。日本ではMCS(Multiple Chemical Sensitivity 、化学物質過敏症)の人達が微量の農薬暴露で病気になると訴える場合が多いが、アメリカではMCS はどういう評価になっているのかと訊いてみたら、いろいろ議論があったが精神的ストレスによる体調悪化というのが定評になっているとのことでした。来週の火曜に一緒に昼食を食べようと約束して帰ってきました。

大学のキャンパスで大きな松が枯れかかっているのを見つけたので、カメラを持って写真を撮りに行きました。まだ木全体は枯れずに生きている枝もありましたが、日本の松枯れにそっくりで、幹の周りをよく観察したらフラス(木屑)が出ているところもあったので、虫が樹皮の下で食害していることがわかりました。日本の松枯れと同じかどうか興味深いところですが、マツノザイセンチュウが寄生しているかどうか確認してみないと何とも言えません。

いつもMaergie さんにお世話になっているので、夕方はスシツネというおすし屋に行っておすしをご馳走してあげました。注文した料理の半分を食べて、残りは明日の昼食にとTake out box をもらって持ち帰っていました。

シンガポールに帰ったCrop Life Asia の旧知の友人から何回かの電話とメールの連絡があり、結局10月16日~22日にスリランカの会議に出席して見解発表をすることになりました。15日の夜に日本に帰国してすぐ翌日の朝に出発ですから、こちらにいる間にスライドなど準備をしておかないと間に合わないので、ちょっと大変です。農薬製剤に含まれる(とされる)極微量の重金属が健康影響(特に慢性腎臓障害)を起こすかどうかという問題です。