2012年11月11日日曜日

常磐線の石岡駅に8:15に着き、待っていてくれた樹木医のY.A.氏の車で涸沼(ヒヌマ)の景色を見ながら大洗海岸に行きました。あらかじめ独立行政法人原子力研究開発機構大洗研究開発センターの辺りの松枯れが激しいという情報が入っていたので行ってみたら、確かに正門から構内の松がたくさん枯れているのが見えたので写真をとろうとしたら、いきなり「写真撮影は禁止です」というアナウンスがスピーカーから流れました。驚いて周りをみたら、監視カメラがついていて警備室で監視をされていたようでした。用事があるならインターホンで話をするようにと言われたので、身分を名乗って、松くい虫被害の視察に来た旨を伝えたら、あらかじめ申請手続きをしていないと許可できませんと言われてしまいました。普段からこういう厳しい警備をしているのか、原子力発電所の事故以来、反原発の動きが高まっているので特別警戒をしているのかはわかりませんでしたが、仕方がないので裏に回ってみました。もしかしたら、昨年3月の原発事故以来、予算が縮小されて昨年と今年の2年間松くい虫対策をする余裕がなくなったせいか(誰かに確認する必要があります)、ずい分松枯れが目立ちました。伐倒駆除をせずに枯損木をこのまま残しておくと、来年はそれが発生源になって今年生き残った松も相当枯れるなということが予想されました。

周辺を回ってみたら、与利幾(何と読むのかわかりません)神社の周りには大きな松林がありましたが、やはり相当数が枯れていました。枯れて玉切りにされた松の年輪を数えてみたら、ざっと50年くらい経っている松だということがわかりました。こんな大木を多くの本数伐倒する予算(1本20~30万円かかるそうです)はないでしょうから、多分このまま放置されると来年は被害が激増しそうだなと思われました。

一方、大洗海岸公園の松林は樹高の低い松が斜面に密植されていましたが、ほとんど松枯れがなくよく守られていました。
さらに、大洗町営の「幕末と明治の博物館」[明治維新後活躍した高知県出身の田中光顕(みつあき)伯爵が昭和4年に創立した旧常陽明治記念館] http://www.bakumatsu-meiji.com/ に行ってみたら、巨大な松林が見事に管理されていましたが、1本だけは殺センチュウ剤が今年の2月に樹幹注入されたことを示すラベルがホッチキス留めされていたにもかかわらず枯れていました。殺センチュウ剤がその1本の松にだけは防除効果を発揮できなかった何らかの理由がある筈ですので、調べてみれば面白い研究テーマだなと思いました。

さらに海岸沿いに北上してみたら、松がボロボロに枯れて骸骨のように立っているところがあり、再生した松にも今年発生した松枯れが見られましたが、その下部からトベラのような常緑落葉樹が生えてきているところがありました。自然に遷移したのか植樹したのかは関係者に確認してみないとわかりませんが、樹種の置換が可能ならそれはそれでいいのではという気がしました。ただ、飛砂防止効果という点で松のような針葉樹と広葉樹で違うのかどうかは誰かに訊いてみないとわかりません。