2012年11月1日木曜日

朝6時に目覚ましをかけて、シャワーを浴びて目を覚ましてから、昨日の夕方下見をしておいたホテル周辺を1時間くらい散歩してきました。北アルプスの頂上は雲に隠れて少ししか見えませんでしたが、太陽が昇るにつれて手前の山が上の方から少しずつ明るくなっていく様子は感動的でした。夏用から冬用の衣服に着替えてきたのですが、それでも寒いくらいで手がかじかんだのでズボンのポケットに入れてしのぎました。つい先週までは熱帯のスリランカにいたのとは大変な違いでしたが、都会の喧騒とは違う田舎の落ち着いた景色や雰囲気には共通のものを感じました。朝7時頃には子供たちが自転車で学校に向かう姿が見えました。この辺りは、以前私が農林水産省の農業資材審議会農薬分科会長の任にあってマイナー作物の農薬登録問題を検討していた時に、ワサビ(ワサビにも害虫が発生しますが、当時ワサビに登録のある農薬は皆無でした)の現場での栽培状況を見学に来た頃は穂高町と呼ばれていましたが、今は安曇野(アズミノ)市に合併して安曇野市明科(アカシナ)になっていました。

散歩に出る直前にアメリカの空手の弟子/友人のユージン・サンチェス君から電話がありました。先日アメリカ東部海岸を襲ったハリケーン"Sandy"の被害見舞いの留守電を入れておいたことに対するお礼の電話でした。最も大きな被害を受けたのはニューヨーク州やニュージャージー州で、今回はノースカロライナ州の被害はそれほどでもなかったとのことでした。従って、ウィルミントンという海岸の町にある彼の家にも被害はなかったとのこと。しかし、停電の復旧工事の手が足らないので、電力会社に勤めている彼自身も北部の州に復旧応援要員として派遣されるだろうとのことでした。

長野県森林病虫獣害防除検討会は、長野県林業薬剤防除協会/長野県森林保全対策協会/長野県林業職員協会/長野県森林組合連合会/安曇野市/松本市の主催、多くの諸団体の共催で、林野庁中部森林管理局/長野県/長野県市長会/長野県町村会の後援を受けて、安曇野市明科公民館で10:00 から開催されました。
主催者・来賓の挨拶に続いて、私が「松林に散布された薬剤の飛散実態と健康影響の可能性」という演題で講演をしました。参加者は長野県下の市町村職員が大半でしたが、松枯れの激害化が進行していて対応を迫られているという状況下で、一部一般市民も参加して、事実を知りたいという真剣な雰囲気が伝わってきました。ヘリコプターによる薬剤散布が、2008年の上田市における保育園児の喉の痛み症状の訴え騒動以来、実施し難くなっていますが、今まで薬剤散布による健康影響の訴えがなされたほとんどの場合、実際には健康影響が起こるような周辺環境への飛散は起こっていないし、健康影響の可能性は著しく低い(=実質的にない)という私たちの過去9年間にわたる全国各地での科学的調査結果に基づく見解に熱心に耳を傾けてくれました。それでも、科学的事実とは別に、農薬反対活動家グループがメディアを使って農薬による健康被害を大きな声で訴えれば、政治的に考慮せざるを得ないというところが行政担当者のつらいところです。
その後、ヤンマーヘリ&アグリ(株)の斉藤次男氏による「無人ヘリについて」の講演がありました。

昼食後、無人ヘリコプターによる薬剤散布(水で代用)の実地研修のために、各自の車で安曇野市明科押野山に移動しました。この地域は松枯れの激害発生地で、松くい虫で大量の松が枯損し、見るも無残な状況でした。
無人ヘリコプターによる薬剤散布は、通常早朝の凪(なぎ)の時に、風速が毎秒3m以下の時だけに実施しますが、今日は時間的に午後になったこともあってかなりの強風が吹いていましたので、ヘリコプターを松林の上までは飛ばさずに、地上から数m飛び立たせて水を散布するデモンストレーション飛行をしました。

帰りは上田市から参加していた方の車に同乗させていただいて、上田駅から長野新幹線に乗りましたが、上田駅までのドライブの途中の山の景色を堪能しました。