2013年2月23日土曜日

昨夜は新潟から松戸の自宅に帰ってきたのは夜の11時半頃でした。今日は午前10時から玉川大学で日本樹木医会の樹木医実践技術講座があり、興味深い内容の講座でしたので、私も2つの講座を受講しました。

真宮靖治先生は長年森林総合研究所で松枯れの原因究明の研究をし、マツノザイセンチュウの病原性を初めて確認された方です。「マツ材線虫病研究の現状」という演題で、1.被害の現状、2.マツノザイセンチュウの系統、3.年越し枯れ問題、4.細菌関与説、5.発病機構の解明、6.媒介者との便乗関係、7.分子生物学的研究、8.マツノマダラカミキリにかかわる研究、9.その他、について講義をされました。傘寿(さんじゅ)とおっしゃっておられたので80才の筈ですが、今でも研究の最前線をフォローされていて、大変勉強になりました。私にとって特に関心があったのは、センチュウが侵入後の発病機構についてですが、いろいろな研究者が提唱しているいろいろな仮説を紹介されましたが、まだ科学的に証明された定説は確立されていないということでした。マツノザイセンチュウの病原性を証明したという素晴らしい実績をお持ちの第一人者でありながら、ご自分の功績を宣伝することもなく、一つ一つ科学的に証明しながら問題を解明していくりっぱな研究者という印象を受けました。松枯れ問題は今や日本だけでなく、中国、台湾、韓国、ポルトガル、スペインにまで拡大した国際問題になりつつあるようです。

小野正人先生は玉川大学の教授で、「スズメバチの科学」という演題で、普段私たちには刺されたら怖いというイメージのスズメバチにもいろいろな種類があり、社会性昆虫としての特徴や人間との関係などについて講義をされました。長野県では昔から動物性タンパク源としてスズメバチを食べる文化があることは知っていましたが、巧みな話術に思わず惹き込まれ、外国人が幼虫を口に入れる写真を見せながら、スズメバチの天敵は人間という説には説得力がありました。刺されたら怖いというイメージから悪者扱いにされるスズメバチには、農業害虫を食べてくれる益虫としての面があるということも学びました。