2013年5月17日金曜日

新潟県胎内市の荒井浜公園の近くの肥料工場に勤務しているS博士(私の研究室の卒業生)を朝7時に訪ね、一緒に調査予定の松林に行って、昨日印をつけてきた調査地点の場所を確認しました。6月に薬剤が散布されたら、彼に印をつけたマツの木から2ケ月間週に1回枝葉を採取して、クール宅急便で送ってもらう予定です。

ホテルに戻って朝食後、新発田市にあるY会社を訪ねました。資材供給だけでなく、無人ヘリで薬剤散布の事業もやっている会社なので、いろいろ情報を入手しました。
それから新潟市に行って県庁農林水産部治山課に寄って、松くい虫対策事業担当者に会って情報交換をしました。6月の正確な散布スケジュールが決まったらすぐ連絡をしてもらえることになりました。

胎内市でも新発田市でも、松枯れ激害の原因は共通していました。松林に隣接するところに養鶏場があると、薬剤散布をするヘリコプターの騒音で鶏にストレスがかかって産卵に影響するかもしれないという恐れと、隣接するところにタバコ畑があると、万が一ごく微量でも飛散薬剤がタバコの葉にかかるとJTにタバコ葉の買い入れを拒否されるかもしれないという恐れのために、散布を中止してしまったということです。散布中止後3~4年経つと松林は松くい虫被害でボロボロになり、そこが発生源になって被害が周辺の松林に次々と拡大していきます。
元々不毛の砂丘地帯だったところに、マツを植林して砂防林を造成したお蔭で人も住めるし、養鶏もタバコ耕作のような生産活動もできるようになった所です。松枯れという伝染病が海外から入ってきて分布を拡大した今、生産活動への悪影響が心配で松林を守るのに必要な薬剤散布ができなくて砂防林が消滅すれば、生産活動自体ができなくなる可能性があるというのは、皮肉な現象です。