2013年8月21日水曜日

南日本新聞に紹介された愛媛大学農学部河野公栄教授らの蜂蜜から検出されたネオニコチノイド剤に関する研究がどこかの学会で発表されていないかと思っていたら、ある人が情報を送ってくれました。 
2013年7月31日~8月2日に東京農業大学府中キャンパスで行われた第22回環境化学討論会で「環境水中及び蜂蜜中からのネオニコチノイド系農薬の検出」(発表者:山崎泰生・原口達彦・近藤靖高・松田宗明・高橋 真・森田昌敏・河野公栄)という演題でポスター発表されていて、その要旨(要旨集p.636、発表番号2PD-17)が入手でき、そこに環境水中から検出されたネオニコチノイド剤の濃度と市販の国産とラベルされた蜂蜜から検出されたネオニコチノイド剤の濃度が報告されていました。

ミチバチに毒性が低い方のアセタミプリドとチアクロプリドの最高検出濃度はすでに新聞記事に出ていましたが、毒性の高い方の5剤の中で、ジノテフラン、イミダクロプリド、クロチアニジンは検出されず、問題のチアメトキサムの最高検出濃度は2.4ng/ml(=1.7ng/gに相当)だったとのことでした。これは私が新聞に出ていた生涯摂取量は急性毒性LD50値の1/2という説明から逆算して推測した値1.45ng/ml(=1.04ng/gに相当)とは異なりました。この違いは、私はForagerと呼ばれるハタラキバチの生涯摂餌(糖)量を80mg(EFSA Guidance による一日当たり摂餌量)×30日(ハタラキバチの寿命)=2,400mg=2.4gと仮定したのに対して、上記ポスター発表の山崎ら(2013)は5gと仮定してチアメトキサムの生涯摂取量を計算しているという違いによるもののようです。
FERA Report(2013)に公表されているチアメトキサムのミツバチに対する急性経口LD50値は5ng/beeとなっています。山崎らが検出したチアメトキサム濃度1.7ng/g蜂蜜から一日当たり摂取量(一日当たり採餌量80mgと仮定して)を計算すると、0.136ng/beeになります。これは急性経口LD50値5ng/bee の約37分の1に相当します。この濃度のチアメトキサムが含まれる蜂蜜をミツバチが摂取し続けた場合にどういう影響を与えるかは実際に実験をしてみないと何とも言えませんが、昨日も推察しましたように、少なくともForagerと呼ばれるハタラキバチはこの濃度のチアメトキオサムを含む花蜜をせっせと平気で採集してきたことは事実の筈です。ということは、いわゆるCCD(Colony Collapse Disorder 蜂群崩壊症候群)に特徴的な巣箱の中に餌、幼虫、女王蜂を残してハタラキバチ(成蜂)だけがいなくなるという症状(ネオニコチノイド剤の影響でハタラキバチが行動異常を起こして失踪する?)とは矛盾するような気がしますが・・。

今日のウォーキングは江戸川左岸を上流に向かって歩き、途中で堤防を降りて松戸市内に入りました。松戸水門の辺りでは今日も鵜と亀が羽干し、甲羅干しをしていました。路傍に無造作に置いてある念仏像には寛文八という文字が見えましたが、1668年に造立されたものなのでしょうか。松戸市役所の裏には金山神社の小高い山が残されていますが、そのお堂の前には美しい日本人形が2体無造作に置かれていました。