2013年8月20日火曜日

昨日の南日本新聞に掲載された「蜂蜜にネオニコチノイド」という見出しの記事に出ていた検出濃度について、少し計算をしてみました。ミツバチに対して毒性が低い方の2剤のアセタミプリドとチアクロプリドについては、検出された最高濃度がそれぞれ5.9ng/mℓ、16ng/mℓと書いてありました。ハチミツの比重を1.4(つまり1mℓ=1.4g)、Worker bee の摂餌量を80mg/day、寿命を1ケ月(=30日)として計算すると、ミツバチによるアセタミプリドの一日当たり摂取量は0.336ng/bee、一生涯摂取量は10.08ng/beeとなり、同薬剤の経口LD50値(半数致死薬量)14,500ng/beeと比べると著しく低く、一日当たり摂取量は約43,000分の1、一生涯摂取量は約1,400分の1に相当しました。従って、ミツバチに影響を及ぼす濃度よりもはるかに低い範囲と考えられます。また検出された残留濃度は4.2μg/Kg、すなわち0.0042ppmに相当しますので、残留基準値の設定されていない農薬に適用される一律基準0.01ppmよりも低く、人間の食品としての安全性にも全く問題がないと考えられます。

同様にチアクロプリドについては、一日当り摂取量は0.912ng/bee、一生涯摂取量は27.36ng/beeとなり、これらは同薬剤の経口LD50値17,320ng/beeの約19,000分の1と633分の1に相当しますので、やはりミツバチに影響を及ぼす濃度よりもはるかに低いと考えられます。残留濃度は11.4μg/Kgすなわち0.011ppmですから、一律基準0.01ppmとほぼ同程度で、食品係数の中でハチミツの摂取量はわずかに過ぎないことを考えれば人間の食品としての安全性にも問題はないと考えられます。

肝心のミツバチに毒性の高い方のネオニコチノイド5剤の検出濃度は書いてありませんでしたが、チアメトキサムについてだけは一生涯摂取量はLD50値の約2分の1に相当したという記述がありましたので、それから検出濃度を逆算してみました。チアメトキサムの経口LD50値は5ng/beeですから、検出された濃度は1.45ng/mℓ(=1.04ng/g)すなわち0.001ppmとなり、人間の食品としての安全性は全く問題になりません。ミツバチによる一日当たり摂取量は0.083ng/bee、一生涯摂取量は2.5ng/beeとなり、これはそれぞれ同薬剤の経口LD50値5ng/beeの60分の1および2分の1に相当します。一日当たり摂取量はLD50値の60分の1ですから、急性毒性の影響はないと考えられます。一生涯摂取量はLD50値の2分の1と計算上なりますが、これがミツバチの行動に何らかの影響を及ぼすかどうかということが懸念されると記事の中では指摘されています。
急性毒性値の60分の1という微量のチアメトキサムを含んだハチミツを1ケ月間摂取し続けた場合、薬剤はそのままミツバチ体内に蓄積して増加していくのか、摂取量と分解・排泄量とのバランスで一定量(無影響レベル)が維持されるのか、ということが判断のポイントになると思われます。放射性同位元素で標識した薬剤をハチミツに混入して摂取させ、体内の親化合物の量が増加するか一定レベルに維持されるかを測定すれば比較的簡単に判断する情報が得られる筈です。分析でチアメトキサムが検出された当該ハチミツをミツバチに投与して1ケ月間行動や症状を観察すれば、もっと簡単に影響があるかどうかの直接的な情報が得られる筈です。
しかしよく考えてみれば、検出された濃度のチアメトキサムを含むハチミツをミツバチが採集できたということは、この程度の濃度では実際にはミツバチの行動に影響を与えていないのではという想像もできます。

今日は午後から江戸川の右岸に渡って、水元公園に行き、2時間ちょっと歩いてきました。桜堤(つつみ)には北向き地蔵と名付けられた小さなお地蔵さんがあり、赤い帽子を被って白いエプロンを付けています。誰が建立したのだろうといつも気になります。すぐ横を平行して走る道路で子供が交通事故にでもあった親が寄進して設置したのでしょうか・・。セミの鳴き声はまだアブラゼミが多いようですが、少しずつミンミンゼミに続いてこの頃はツクツクボウシが増えてきている気がします。ドングリも緑色から少しずつ茶色に着色し始めています。