2013年10月1日火曜日

モーテルを9時に出発して、車を運転してResearch Triangle Park(略称RTP、研究学園都市)にあるバイエルクロップサイエンス(BCS)社USA本部に約束の9時半に着きました。Receptionist(受付)にSarah Myers さんと会う約束があると告げたら、初めての訪問者は安全確保のビデオを観てもらうことになっていると言われました。長い机に5~6台の小型ビデオ機が置いてあり、仕切り版で仕切られている間に座って約5分間のビデオを観ました。化学の研究所なので、万が一火災が発生した場合や強風や竜巻の被害が出た場合の対応の仕方を説明していました。BCS社のモットーはSafety First(安全第一)ということが強調され、建物内のいくつかの部屋は緊急事態発生時の退避先として指定されていました。

Sarahさんのオフィスで話をした後、農薬製剤の研究部門、農薬残留分析の研究部門、種子コーティングの研究部門を案内してくれました。日本のBCS社から私の訪問についてあらかじめ連絡がされていたので、非常に丁寧に対応してくれました。それぞれの部門の担当者が待っていてくれて、どういう研究をやっているか詳細に説明してくれました。残留分析のところで面白かったのは、アメリカ全土から送られてくる試料(土、水、作物、など)をドライアイスと一緒にホモジナイズ(磨砕)して均質化するグループ、その試料から最適方法で農薬を抽出・精製して分析用試料を調製するグループ、分析用試料をLC/MS/MSなどの機器で分析をするグループ、などに分業化されているということでした。分析方法が確立していて、業務として分析をする場合は分業が能率がいいのでしょうが、研究者としては能率は悪くても一人で全部できる方が楽しいと思います。 ネオニコチノイド剤との関係が問題になっているミツバチや花粉や花蜜などの試料も送られてきて分析をしているとのことでした。どれくらいの濃度が検出されるか聞き出そうとしましたが、敏感な問題なのでサラッと逃げられて、影響のない低い濃度という答えしか引き出せませんでした。 種子コーティング部門の研究室には大きな機械があって、複数の農薬(殺虫剤や殺菌剤)を同時にコーティングしたり、目的によっては順番にコーティングしたりしていました。種子を入れるところがかなり高い位置(3~4mくらい)にあったので、人間が袋を肩にかついで階段を上ることを想像しながら何10キロgという種子をどうやってその高さまで上げるのかと訊いたら、フォークリフトを使うとのことでした。普段忘れていますが、ほとんどの作物の種子は農薬が処理されているということをあらためて認識させられました。発芽率や薬害や収穫物への残留など研究して確立された技術でしょうが、これらの種子が気候風土がアメリカと異なる海外に輸出された時の規制(安全性の確保)はどこが担当しているのかちょっと気になりました。日本に帰国したら誰かに訊いてみようと思います。

昼には社内のカフェテリアではなく、車で外に出てイタリアレストランに連れて行ってくれ、Sarah の部門の大ボス(と言っても体格のことではなく、配下の社員が20数名いるという意味。実際には非常に魅力的な中年の女性でした。)や男性の幹部社員2人も加わって昼食をご馳走になりました。その後、車で1時間くらいかかるClayton という田舎の町にあるField Station(研究圃場)に行き、すでに設置されているBee Care Center を見学しました。広大な敷地に、芝の試験研究用にゴルフコースも設置されていて、大きな池もありました。夜には周りの森からシカが50~60頭でてき走り回り、コヨーテも出てくるとのことでした。私が特にミツバチのCCD(蜂群崩壊症候群)問題に興味があると伝えてあったので、野外に15箱くらい設置されているミツバチの巣箱を見せてくれ、私にも蜂に刺されないように防護服を貸してくれて巣箱の中を見せてくれました。
一日かかりましたが、BCS社の取り組みがよくわかり、大変有意義でした。私のためにこれだけの人数でこれだけの時間を使って案内してくれたBCS社の皆さんに感謝です。

モーテルに帰ったのは夕方6時頃でしたが、マージーさんが夕食を作ってくれている間に私は運動着に着替えてRegency Park の池の周りを1時間ほどジョギングしてきました。こちらはDay light saving time を採用していますので、夕方の7時頃から日没になります。その代わり、朝は7時頃にならないと明るくなりません。 (写真をアップしようとしましたが、うまくできませんでした。私のノートパソコンは古い機種ですが、昨年は同じパソコンでうまくいった筈なので、何とかできないか試行錯誤してみます。)