2014年1月5日日曜日

昨日、フジテレビの朝番組「とくダネ」の月曜担当のD氏からコロッケへの殺虫剤混入事件に関する取材の申し込みがあり、今夕5時に会うことになりました。松戸駅周辺の喫茶店かレストランかでと考えていたら、新松戸駅前のホテルの会議室を予約してくれました。約束の時間にホテルに行ったら、カメラマンと照明担当者とD氏の3人が先に到着して部屋はすぐインタビューができる状態にセットされていました。1時間ぐらいだったでしょうか、用意されていたいろいろな質問に答える形での取材でした。私以外にもあちこち取材をしてきたようで、明日の朝の「とくダネ」で放送予定とのことでした。

一昨日電話取材のあった週刊新潮の記者からも、今夜再度電話での追加質問がありました。冷凍餃子(ぎょーざ)のメタミドホス混入事件の時もそうでしたが、具体的な現場の様子は新聞やテレビニュースやネットの情報頼りですから、推察の域をでませんが、コーンクリームコロッケから最高15,000ppm のマラチオンが検出されたという事実からは次の事が考えられます。

マラチオンは、農作物(稲、果樹、野菜など)の害虫防除、家庭園芸の害虫防除、公衆衛生に関わる害虫(ハエ、蚊、ゴキブリなど)防除、海外では貯蔵穀類(米、麦、トーモロコシ、大豆など)の害虫防除に使われている殺虫剤です。哺乳動物(ラットやヒトなど)と昆虫に対しては選択性を示し、哺乳動物に対する毒性は低いことが知られています。一方、昆虫に対してはBroad Spectrum (殺虫活性スペクトルが広い)で、ウンカ・ヨコバイ類、カメムシ類、ハダニ類、カイガラムシ類、ハマキムシ類、コガネムシ類、ミバエ類、蚊類、ハムシ類、アオムシのようなちょう目(鱗翅目)害虫など、幅広い害虫の種類に対して防除効果を示します。

農薬としてのマラチオンは日本では乳剤(有効成分50%)と粉剤(有効成分1.5%と3%)があります。乳剤は水で1,000~3,000倍に希釈して散布しますが、これは濃度に換算すると167~500ppmに相当します。散布液量は作物によって違いますが、通常は1平方メートル(1m×1m の面積)当り0.1リットル(=100mℓ)程度です。マラチオンは植物体上や動物体内で分解し易い化合物ですので、収穫時の作物に残留する濃度は高くても数ppm程度ですから、コロッケから検出された15,000ppmというのは、コロッケに使われた原材料の残留農薬由来でないことは明らかです。

15,000ppm(ppm というのはparts per million の略で100万分の1ということ)というのはマラチオンが15,000mg/kg ということですから、コロッケ1g 当り15mgに相当します。コーンクリームコロッケは1個の重さが22gだったそうですから、コロッケ1個当り330mg のマラチオンが検出されたことになります。
マラチオン乳剤の有効成分50% というのは、乳剤100ミリリットル(mℓ)中にマラチオン50gを含むということですから、1mℓ中には0.5g(=500mg)のマラチオンを含むことになります。従って、コロッケ1個から検出された330mg のマラチオンを混入するには、マラチオン乳剤の原液をコロッケ1個当り0.66mℓ吹きかければよいということになります。包装前のトレイにパン粉をまぶして油で揚げ終わったコロッケが何個並んでいたかわかりませんが、ポケットサイズの小さな霧吹きを一押しするだけで検出された濃度を混入することが可能です。

以上は私の試算に過ぎませんが、事実は捜査によって近日中に解明されるものと思われます