2014年5月18日日曜日

しばらく忙しくてブログの更新ができませんでした。昨日17日(土)に明治大学での公開講座「食の安全文化論」の2コマの講義が終わって、やっと一息つけるようになりました。明治大学での公開講座の講師になるのは3年振りでしたが、受講生66名の大半は社会人らしく、皆熱心に私の話に耳を傾けてくれました。私が担当したのは、「農薬の安全確保対策1.登録制度と食品残留農薬」と「農薬の安全確保対策2.環境影響の評価方法と実態調査」の2コマでした。講義終了後、何人もの受講生が列をつくって質問にきました。現職の時に千葉大学や東京農業大学の教室で経験した学生たちよりも受講生が熱心だったのは、社会人で卒業のためではなく勉強したいために受講しているからかもしれません。
受講生の一人は87才で、3年前も私の講義に参加したが、その時もらった配布資料に比べて今回はさらに多くの情報を収集してあると言われました。まさか同じ人が二度受講するとは予想しませんでしたが、古い資料に新しい情報を追加してきてよかったと思いました。公開講座はリバティタワーと呼ばれるお茶の水駅の近くの高層校舎で行われましたが、この受講生とは帰りのエスカレーターで一緒になり、コーヒーでもどうですかと誘われたので1階の軽食レストランに寄り、結局ビールに変更して喉を潤して楽しいひと時を過ごしました。

10日(土)には日比谷公園で開催されたみどりの感謝祭に顔を出し、その後日本緑化センターで数人で集まり、松くい虫問題の研究課題などについて意見交換をしました。
11日(日)にはマツ苗の発病試験をするのに必要な砂を採取しに一人で車を運転して平砂浦に行きました。全くの偶然ですが、3月の「平砂浦に松を植えた古老を囲む会」に参加された田辺材木店の奥様からソラマメがたくさんとれたから送りたいという電話が携帯にあり、ちょうど今日は館山に向かっているのでということで立ち寄っていただいてきました。平砂浦の松林を再生する努力をしていることを感謝されましたが、こうやって地元特産の莢(さや)付きのソラマメをたくさんおすそ分けしていただいてこちらこそありがたく思いました。お蔭様で妻が莢をむいて料理をしてくれたので、何日間かおいしいソラマメを味わうことができました。
14日(水)は一人で車を運転して茨城県那珂市の大森種苗園に行って、松くい虫抵抗性と感受性のマツ苗を購入してきました。15日(木)には緑地環境学科の3年生の女子学生(松くい虫問題を研究テーマにしている)と一緒に鉢に苗を植える作業をしましたが、砂をもう一度篩(ふるい)にかけて線虫の付いた根の断片が混入しないようにしたり、長過ぎる根を適当な長さに切除したり、根を斜めに切って形成層を合わせてパラフィルムで巻いたりで、結局5時間くらいかかってしまいました。
16日(金)は東京農大総合研究所研究会農薬部会(私が部会長)の総会と特別講演がありました。総会では、1年間の活動報告、会計報告、次年度の活動計画、役員(幹事)の提案などが無事に承認されました。特別講演では、今回は農薬を離れて、千葉県柏市で大規模農業をしている染谷 茂氏に「地の利を生かした都市近郊農業-私の歩いてきた道-」という演題で、お話していただきました。柏市では、福島原発事故の後、放射能汚染のホットスポットがあるとのことで風評被害が起こり、直売所の売り上げが激減したとのことでした。研修会を開いて、農家が農地や空間の放射能測定までして安全性に問題がないことを確認したそうです。消費者対象に信頼性について行ったアンケート調査の結果を発表しましたが、大変興味深い結果でした。信頼性が低い順番は、小売り<生産者<行政<消費者団体<研究者・分析機関だったということは、この順番に自分の都合のいいように嘘を言うことがあると思われているということかもしれません。
小田急線の経堂駅から東京農大に行く農大通りに一軒のお米屋さんがあり、いつも店先に今日の言葉を書いた小さな黒板を出しています。1粒のお米と題して、1粒のお米がどれだけに増えるか計算してあり、おもしろかったので写真を撮ってきました。

次の講義は6月13日の千葉大学での公開講座ですので、準備をする時間的余裕が少しあります。その次は、6月19日の新潟県、6月24日の山口県、7月11日の長崎県、7月16日の徳島県と、市民対象の講演が続きます。その間に、マツ苗の発病試験や根の癒合によるマツノザイセンチュウのこん根系感染・発病試験や、各地での松くい虫被害木の分布調査などもありますので、パニックにならないように手際よくこなしていく必要があります。

    (写真はクリックすると拡大できます)