2014年6月13日金曜日

今日が締め切りだった徳島での研究会で発表予定の講演要旨を大会事務局に送りました。
午後4:10からの千葉大学園芸学部での講義計画(時間配分など)を再確認し、3時半過ぎに会場に行きました。講義棟の改修工事が遅れているので、戸定ケ丘100周年記念ホールが教室代わりに使われています。早目に着いて誰も来ていなかったので、教室の写真を1枚撮りました。

TA(ティーチングアシスタント)の学生がスライドプロジェクターやスクリーンやマイクなど全部準備しておいてくれました。今年は受講生が約80人(その中、社会人が約10人)で例年より少し多いとのことでした。食品安全ビジネス論という講義科目の中の「食品安全と農薬」という部分を担当しました。1時間半の講義を少し時間オーバーして終わってから、スクリーンに私のメールアドレスを写して、質問のある人はメールを送るようにと指示したら、3年生の学生からメールが届きました。早速以下のような回答を送っておきました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〇〇〇〇君
メールをありがとう。
(1)誤解してほしくないことは、無農薬栽培や有機栽培で作られた作物が安全でなかったり美味しくないという訳ではないということです。これらの人たちは自分の商品の差別化をするために、通常栽培(化学肥料や農薬を使った)作物は危険で健康にもよくないという宣伝をして(直接的にはそう言わなくても今日の最初のスライドで見せたようなそれをにおわす表現をして)、それに比べてより安全でより美味しくてより健康によい(栄養価値が高い)ということをセールスポイントにして高価格で販売しているということです。しかし、残留農薬濃度については通常栽培でも全く問題はないので安全性に差はないし、科学的な検証では栄養価値についても差がないし、味や風味についても差がないというのが実態です。無農薬栽培や有機栽培でも病害虫・雑草は発生するので、それらの防除に農薬の代わりに使われる代替資材の中には農薬が混入されている場合があるということは、使用基準が定められていない分だけより安全ではないと言えるかもしれません。味や栄養成分は無農薬と通常栽培だからではなく、どういう栽培をするかで違ってくる筈です。特に味については主観が影響し、無農薬栽培・有機栽培は美味しい筈と信じている人には美味しいと感じる筈ですし、私は個人的には、同じものを自分の体調によって(運動した後や空腹の時)美味しいと感じたり、(全く運動をしない時や満腹の時は)ちっとも美味しくないと感じたりします。化学肥料や農薬を使った通常栽培は体にも環境にもよくないというイメージが繰り返して宣伝され、サブリミナルに頭に刷り込まれてしまっている人に、そうではないということを知ってもらうのは困難です。科学的な検証データを示して、理解してもらうしかないかもしれません。無農薬栽培や有機栽培をやっている人たちはビジネスとしてやっているので、君がそれを止めようとすると、営業妨害と見なされて嫌がらせをされるかもしれません。彼らの嘘を暴露した私に対しても、弁護士を通して脅迫状が送られてきたり、夜中に無言電話がかかってきたり、私の名前と電話番号で通販に注文を出されたり、といったストーカー行為をされました。君の場合はまだ学生ですから、人を説得するよりも、君自身で情報を収集して事実を検証する方に時間とエネルギーを使った方がよいでしょう。例えば、栄養価値については今日の私のスライドで紹介したイギリスの食品基準庁が発表した報告書を探して読んでみるとか、味・風味についてはアメリカの学会誌に発表された論文を探して読んでみて、自分自身で私の言ったことが正しいかどうか確かめてみてはどうですか。両方の文献とももちろん英文ですので、英語の勉強にもなります。
(2)消費者が農作物を購入するにはいくつかの方法があると思います。スーパーの食品売り場、個別の八百屋、農家やJAの直売所、生協や大地の会やラデッシュボーヤのような宅配便、など。消費者はそれぞれの事情や何に価値があると信じるかで、購入方法を選択しているのだと思います。君が何故スーパーマーケットの安価で安全な農作物を守りたいと考えるのかわかりませんが、学生の立場としては、スーパーマッケットに並んでいる商品がどこで作られてどういう流通経路でそこに並べられているのか、生産者(農家)はどれだけの収入を得ているのか、スーパーマーケット側はどれだけの利益を得ているのか、賞味期限切れで廃棄されている分はどれだけあるのか、などを調べてみるのもよいと思います。農家と顔の見える関係や地産地消を大事にするには直売所という選択もあるでしょう。
君は3年生ということですと、できるだけいろいろなことに興味を持って、勉強して視野を広げて下さい。それが君の将来の発展につながります。
本山直樹
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夕食後ひょっと窓の外を見たら、満月がきれいに上っていたのでカメラを持ち出して写真を撮ったら、間もなく雲の間に隠れてしまいました。
明日からは、来週から始まる各地での講演の準備を大急ぎでしなければなりません。