私たちが調べたかったのは、枯死木とその近くに位置する年越し枯れ木の間に根の癒合が起こってマツノザイセンチュウが移動して年越し枯れが発症したかどうかということと、年越し枯れ木は今年2014年に羽化脱出したマツノマダラカミキリ成虫の後食ならびに産卵対象木になっているかどうかということと、もしなっているとしたら、年越し枯れ木の材内のマツノザイセンチュウ密度はどの程度で来年の発生源になり得るのかどうかということでした。
公園を所管する結城市役所と被害木の伐倒・伐根作業を受注した造園会社の協力が得られることになって、私たちの調査に便宜を図っていただきました。
作業は年越し枯れ木の伐倒、枯死木の伐根、年越し枯れ木の伐根、伐根後の芝地の修復の順で手際よく行われ、途中私たちの調査に合わせてくれました。
枯死木と年越し枯れ木の根はお互いに絡み合っていましたが、土に覆われていて残念ながら癒合している部分があるかどうかは確認できませんでした。それを見るには振動で土を落とすだけでは不十分で、水をホースでかけて土を洗い落とさなければ無理だということがわかりました。
年越し枯れ木の当年枝部分には樹脂が白く固まって付着している部分がありましたので、後食された可能性がありますが、はっきりした樹皮の後食痕ではありませんでした。
幹の樹皮には成虫が樹皮をかじって産卵した痕跡がありましたので、年越し枯れ木は産卵対象木になったことは確実です。実際に、樹皮下にはフラス(虫糞と木屑)がありましたので、マツノマダラカミキリの幼虫が材内に存在して食害中であることがわかりました。ここから来年の6~8月に羽化脱出する成虫が松くい虫被害の発生源になるかどうかは、どれくらいの線虫密度が存在するかによって影響される筈です。線虫密度については、樹木医がドリルで穴を開けて材片を採取しましたので、いずれ情報が得られる筈です。
一つ予想外で面白かったのは、枯死木の太目の根を食害中のカミキリムシと思われる幼虫が発見されたことです。形態的にマツノマダラカミキリの幼虫がどうかは判断できませんでしたが、こんな地下部の根を食害している幼虫がどこで蛹化して羽化脱出するのか不思議な気がしました。
作業は、造園業者が伐根後の芝地を復元し、伐倒・伐根した枝や幹や根をトラックに積んで搬出し終わった11時半に終了しました。ちょうど昼になったので、近くのkokyu http://kokyu.in/ という古い民家を利用した料理やで樹木医に昼食をご馳走になりました。いい値段でしたが、料理も建物の雰囲気も音楽も庭の眺めも素晴らしく、一度足を運ぶ価値はあると思いました。
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