2014年9月19日金曜日

朝9時に大学の研究室に樹木医のA氏と女子学生のSさんと集まって、マツノザイセンチュウのDNA診断の試験設計をしました。診断キットに含まれる試薬量と前回の残りの試薬量から、検定をしたいサンプル数を絞りました。
Sさんのトレーニングを兼ねて、ほとんどの作業をSさんにやってもらって、全部終わったのは夕方の5時頃でした。サンプルの入っているマイクロチューブを紫外線ボックスの中に並べて、小窓から蛍光発色していればサンプルにはマツノザイセンチュウが存在しているということになります。小窓のガラス越しに写真を撮ったのでピントがあまくなってシャープな写真が撮れませんでしたが、結果は大成功でした。

陰性対象は-、陽性対象は+、マツ苗は根と幹の地際部の2サンプルずつ診断しましたが、無処理(線虫無接種)のアカマツ苗とクロマツ苗はいずれも-、クロマツ苗のマツノザイセンチュウKa-4株(系統?)を地上部に接種して発病枯死した苗は3反復とも+、クロマツ苗の鉢の砂にマツノザイセンチュウしまばら株(系統?)を培養培地ごと埋設して発病枯死した苗は3反復とも+、でした。
従って、砂の中に埋設したマツノザイセンチュウは砂の中の水分中を移動して確かにマツ苗の根から侵入し、幹にも移動し、感染枯死させたことになります。

現在進行中の発病試験の再試験の結果がでるのは約1ケ月後の筈ですが、再現できればワンダフルです。さらに、追加したマツ苗の根をあらかじめ殺線虫活性のある薬液に浸漬処理してから植えた区で防除効果が確認できれば、これから松くい虫被害木を伐倒・伐根した跡地(マツノザイセンチュウ汚染地)の砂浜にマツ苗を植樹する時に活着率を高める技術として実用化できる可能性があります。

松くい虫被害木を伐倒して現場でチップ化して砂浜に敷きつめる場合がありますが、その場合にチップ内に存在するマツノザイセンチュウが根系感染源にならないかどうかを試験するために、9月1日に平砂浦で採取してきた当年枯れのマツの小枝を電気ドリルで穿孔して材片を採取し、マツ苗を植えた鉢の砂の上に重ねて敷きつめました。この材片にマツノザイセンチュウが存在することは、DNA診断で確認しました。

次のステップは、実際の砂浜(平砂浦)でマツ苗を植樹し、近くにマツノザイセンチュウを培地ごと埋設して発病枯死するかどうかを確認することですが、私は10月4日から渡米して1ケ月日本を留守にするということと、砂に埋設するマツノザイセンチュウの培養が時間的に可能かどうかということが問題です。現在手持ちの培地中のマツノザイセンチュウは室温で保管して大分経つので、活力が弱って、今から苗木を準備して砂浜に植樹して埋設する時点では不適になる可能性があります。出発までの残りの期間には他の予定も入っていますので、苗の入手や砂浜に試験目的で植樹することの許可を得ることなど、時間的に無理かもしれません。その場合はしっかり準備をして、来年の春(2月~3月)の植樹の時期に試験をするしかないかもしれません。
いずれにしても、今日は期待通りのよい結果が得られましたので、3人とも気分上々で、どこかで祝杯をあげたいところでしたが、A氏は遠くから車で来られたので次の機会までお預けにしました。