2014年12月15日月曜日

平成26年度の木材保存剤等性能審査委員会第2回安全性部会が東京都江東区の南砂町にある公益財団法人日本住宅・木材技術センター試験研究所で開催され、私も委員の一員として参加してきました。今回は木材保存剤として5製剤の申請がありましたが、慎重審議の結果、いくつか追加情報の提出や使用方法への注意事項の追加記述などの条件付きで、安全性の観点からはいずれも承認しました。上記委員会の中には、もう一つ防蟻・防腐効果が十分かを一定のマニュアルに従って実施された試験成績から判断する部会もあります。これらの手続きについては、公益社団法人日本しろあり対策協会(通称白対協)のホームページにわかり易く説明されています。
http://www.hakutaikyo.or.jp/nintei/
委員会は事務局担当の女性のOさんが非常に有能で、いつも事前に申請書類を綿密にチェックして疑問点や問題点などをメモしておいてくれるので、効率よく審査ができて助かります。

今回は申請された木材保存剤の審査以外の検討課題として、1)ジェネリック原体を利用した場合の安全性資料取り扱いについて、2)安全性試験のGLP試験対応について、3)気中濃度測定について、議論をして現段階における審査方針の確認をしました。農薬の審査と同じように、木材保存剤の審査でも安全性については原体の有効成分だけでなく不純物組成も重要なので、製剤にジェネリック原体を使う場合は同じ有効成分に関する公表データの引用ではなく、当該原体を用いた毒性試験のデータが必要ということにしました。

一般財団法人日本緑化センターが「松保護士の手引き」改訂版を出版するにあたり、私にも一部執筆を担当するように依頼がありました。原稿締め切りは平成27年2月末頃の予定とのことですので、まだ時間的には余裕があります。本書は次の13章から構成され、私は第5章の防除の中の予防散布の健康影響を執筆することになっています。それぞれの分野の専門家による共著ですが、松を保護する上で重要な項目がほとんど全部網羅されている貴重な本になりそうです。

第1章 松林の歴史と文化
第2章 マツ類の生理と構造および松林の生態
第3章 松枯れと松枯れ研究の歴史
第4章 松林の現状と対策
第5章 マツ材線虫病の診断と防除
第6章 マツ材線虫病以外の病虫害
第7章 マツ材線虫病等の防除薬剤
第8章 マツ材線虫病防除方法の実際
第9章 マツノザイセンチュウ抵抗性育種
第10章 マツ類の育成と管理
第11章 海岸林の整備・保全
第12章 被災海岸林の整備・保全
第13章 海岸林の生態系保全

12月5日のブログで、イギリスの新聞 THE TIMES の12月4日付けの記事を紹介しましたが、今日はまた知人から同じ事件(2010年に科学者が集まって、ネオニコチノイドを禁止に追い込むという政治的目的のために特定の科学者を選んで論文を書かせるという策略会議をした)について、別の情報が送ってきました。
 http://www.science20.com/print/150299
12月2日に Hank Cambell という人が SCIENTIFIC BLOGGING というサイトに掲載したものですが、ずい分詳しく解析し、批判しています。