2014年12月28日日曜日

今朝の朝日新聞に「花粉症 食べて緩和? 慈恵医大など研究」という見出しの記事が載っていました。
http://www.asahi.com/articles/ASGDK3SH6GDKULBJ00D.html
さらに詳しい解説は農業生物資源研究所の次のサイトにも載っています。
http://www.nias.affrc.go.jp/gmo/basic.html

私が千葉大学で現職だった時に、デュポンというアメリカの会社が開発した有用成分を高濃度発現する遺伝子組換え大豆を、大学の研究農場内に隔離圃場を作って試験栽培する計画を立てて農水省と大学に申請したことがあります。反農薬活動家グループと同じように、遺伝子組換え作物に対しては過激な反対グループがあるから十分準備をした方がいいと忠告され、農業生物資源研究所で当時計画していた花粉症緩和米の試験栽培に関する説明会があるというので様子を見に傍聴に行きました。驚いたことに、全国から集められた反遺伝子組換え活動家が会場を埋め、最初から結論ありきで妨害のための質問を浴びせていました。今も覚えている馬鹿げた質問の一つは、花粉症緩和米の安全性についてで、確かラットを用いた長期投与試験で何の異常もみられなかったという試験結果が紹介されたのに対して、ラットは何頭供試したのかとか、それで人間に対して安全と言えるのかといった試験栽培の安全性の判断とは関係のない本筋を外れた発言を繰り返していました。

私の試験計画についても、そんなことをしたら松戸市産や千葉県産の農産物は風評被害で売れなくしてやるとか、全国から反遺伝子組換えの活動家を集めて千葉大学で騒動を起こして教育研究をできなくしてやるとか、強迫に近い圧力をかけてきました。最終的には学内に反遺伝子組換え活動に同調する教員がいて、アメリカの会社が開発したものに対して日本の国立大学の研究農場を使って協力するのはけしからんという馬鹿げた屁理屈まで持ち出して、残念ながら結局野外での安全性を見るための試験栽培は実施できませんでした。

今回の記事によると、その後花粉症緩和米の研究が進んで、スギ・ヒノキの花粉の飛散時期に人間に一定期間食べさせて、花粉症の原因となる免疫細胞の増殖が抑えられたことが確認されたということのようです。
今から科学的な試験をしようという時に、初めから自分たちが信じ込んだ結論ありきで何が何でも試験をさせないという態度では、科学の進歩が阻害され、国民の利益が損なわれてしまいます。そんな態度は社会正義でもなんでもなく、単なる自己満足だと思います。

今日はいつもの床屋に行って散髪をしてもらい、サッパリしてきました。予想通りあちこち筋肉痛なので、運動に出かけるのは止めました。