2015年5月9日土曜日

樹木医のA氏と一緒に東京駅八重洲南口前のJR高速バス乗り場から8時50分発のバスに乗り、館山駅前には予定通り10時50分頃着きました。すぐ予約してあったレンタカーを借りて、平砂浦に向かいました。フォーラムの前に、館山ファミリーパーク前のマツが松くい虫防除失敗で全滅して、新たに毎年苗を植樹している区画の現状を視察しておこうと思ったからです。想像した通り、西端に位置する部分のいくつかの植樹区画(4m×8m)はほとんど砂に埋まりかかっていました。また、場所によっては雑草が繁茂して植えた苗がどこにあるかわからなくなっているところもありました。植樹したマツが育って防災林として機能するのは50年後ですから、植樹後の長期にわたる管理が必要にもかかわらず、現状ではそのシステムがないことが問題です。ここでは試験的に、松くい虫抵抗性マツの苗が50%で、残りは常緑広葉樹で潮害に比較的耐性のマサキ、トベラ、アキグミを植えていますが、近くのマサキの成木にはちょう目害虫(ミノウスバかユウマダラエダシャクの幼虫に似ていましたが、自信はありません)が網を張った中で食害していて、葉がほとんどなくなっていましたので、広葉樹が育ったとしても、害虫防除が不要になるというわけではなさそうです。

平砂浦が見渡せる土手に上ってみましたら、汀線(ていせん)に沿って乗馬をしている人がいました。海の中ではサーフィンをしている人もいました。
砂浜は植物にとっては過酷な環境だと思いますが、それに適応して美しい花を咲かせているしたたかな植物もあります。

フォーラム開始時間までには余裕があったので平砂浦に来た時はいつも立ち寄る魚の干物(ひもの)専門食堂で昼食を食べましたが、壁には吉永小百合の写真とサインが貼ってありましたので、食堂の従業員に吉永小百合がここに来たのかと訊いたら、昨年すぐ後ろの館山ファミリーパーク(植物園がある)でのロケに来た時にサインしてもらったとのことでした。吉永小百合のサインは初めて見ましたが、温かみのある素敵な字だなと感じました。

館山市内にある千葉県南総文化ホールでのライオンズクラブ主催の環境フォーラムは午後2時から4時半までで、千葉県南部林業事務所長朝川康彦氏(千葉大学園芸学部昭和55年(1980年)卒による「千葉県南部におけるマツ枯れの被害状況と対策」と題した現状報告に続いて、京都大学名誉教授で長年松くい虫問題について研究された二井一禎(ふたいかずよし)先生の「"マツ枯れ"と戦い、マツの緑をとりもどそう!」と題した講演がありました。
二井先生はマツ枯れの原因解明に関する基礎的研究だけでなく、何故防除に失敗したかや、どうすることが必要かなど現場の問題にも造詣が深く、実に素晴らしい内容の講演でした。ただ、割り当てられた1時間半では講演時間が短く、もっとゆっくりお話しいただければさらによかったと思いました。
マツ枯れは海外から持ち込まれた侵入流行病(伝染病)だから、最近問題になった鳥インフルエンザの場合と同様に、撲滅するには徹底的防除が不可欠という指摘は説得力がありました。
特に、スライドを私が勝手に撮影してコピーをアップした最後の2枚のスライドは、正にその通りで、今後松くい虫問題を解決していく上で大事な提案が含まれています。

本来は館山市民を主対象にしたフォーラムでしたが、茨城県結城市から参加した樹木医のA氏も、松戸市から参加した私も、遠路でも参加して非常によかったと思いました。
フォーラム終了後は二井先生にご挨拶して名刺交換をしてから、会場で合流した東京農工大学名誉教授の安倍 浩先生(南房総市在住)、千葉県団地園芸研究所の植松清次博士と一緒に館山駅前のレストランで、東京駅行の高速バスの出発時間ギリギリまで一杯やって楽しい時間を過ごしました。

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