2015年6月29日月曜日

一日中机に向かって、7月8日に福井県鯖江(さばえ)市で行われる農薬安全使用講習会での私の講演に使うスライドを仕上げ、プロフィールと一緒に宅ファイル便で担当者に送りました。推敲を何回も重ね、内容を絞って時間配分も考えましたので、これで準備OKです。

先週金曜日26日は私の73才の誕生日でしたが、アメリカ人の友人からカードが届いたり、孫たちからもプレゼントをもらいました。Happy Birthday と書いてあるメダルと、「てもみん」というフランチャイスのマッサージ店で首と肩のマッサージを10分間受けられるチケット3枚でした。今まで一度もお金を出してマッサージをしてもらったことがありませんので、どれだけ首筋と肩の凝りが治るか楽しみです。Grandpa にとっては、孫たちからのプレゼントは嬉しいものです。

中国産スイカの泡が噴出した原因は、2003年に報告された千葉県農業総合研究センターの研究で、腸内細菌の感染による果肉の腐敗が原因だということがわかりましたが、そのような腸内細菌がどこから来たかという点についてはあまり考察がありませんでした。一時期日本でも、屠場で得られる家畜の血液を乾燥粉末にして肥料にしたり、何らかの原因で死亡した家畜の骨や肉を乾燥粉末にして肥料として活用するということが行われたのかもしれません。あるいは、完熟していない家畜の糞を畑に施用して腸内細菌の汚染源になったのかもしれません。2008年7月16日付けの朝日新聞夕刊には、有機栽培野菜から食中毒の原因となるサルモネラや病原性大腸菌O-157やバンコマイシン(抗生物質)耐性腸球菌(VRE)が検出されたという記事が掲載されました。もっと最近でも、2011年6月27日付けの日本農業新聞には、ドイツの有機栽培農家が栽培したスプラウトが感染源の腸管出血性大腸菌O-104に野菜を生食した3,700人が感染して、42人が死亡したという記事が掲載されました。
化学肥料や化学農薬を使わない有機農業は食の安全と同義語のように思われていますが、実は化学肥料と化学農薬を使う慣行農業よりも微生物による食中毒の危険性が大きいということです。

私が子供の頃(千葉大学に入学した1960年初め頃まで)は、日本でもまだ化学肥料が安価に手に入らなくて下肥(しもごえ)(人糞を肥溜めに貯蔵して腐熟させたもの)を肥料として畑に撒いていて回虫のような寄生虫が「下肥-野菜-人体-下肥」と循環していましたが、当時はこれから日本の農業も化学肥料を使う「清浄野菜」を目指そうというのが悲願だったと聞きました。実際、私が在学していた頃の千葉大学園芸学部の農場実習でも、大型トラックで運んできた上野動物園の動物の完熟していない生の糞を、教授の指導の下に学生たち(私もその中の一人でした)がザルに入れて素手でちぎりながら畑に撒いていました。今考えれば、化学肥料は高価で入手できなくて止むを得なかったのでしょうが、危険と隣り合わせでした。
今では無責任なメディアと有機農業を商売にしている人たちの宣伝の効果で、有機農業は食の安全と同義語のようなイメージだけが先行して、反対に、長年かけて確立してきた科学的な慣行農業が危険視される現状は、私たちのように有機農業しかできなくて食料不足や寄生虫に苦しむ時代を経験してきた世代にとっては、馬鹿げたことです。

一昨日のブログで紹介した千葉県農業総合研究センターの2003年の研究報告については、TBSテレビの「ひるおび」の金曜担当プロダクションの記者にも情報提供しておきましたが、もし改めてこの問題について取材することに興味がないようでしたら、新聞・雑誌を含めた他のメディアにも情報提供をしてみようと考えています。

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