2015年7月17日金曜日

台風11号の進路が気になりましたが、東京農業大学総合研究所研究会農薬部会セミナーは予定通り実施することにしました。午前中に幹事会がありましたので、11時ちょっと前に小田急線経堂駅に着いて、ハートフル農大通りを会場の食と農の博物館に向かって歩いていたら、急に強い雨が降ってきて濡れてしまいましたが、その後雨は止んでくれました。
食と農の博物館にはいつも何らかの展示がしてありますが、今日は1階ロビーに大きなトラクター2台が置いてありました。今のトラクターは運転席にカバーが付いて、中には空調の付いたものまであるようですが、ネットでFIAT製トラクターで検索してみたら、中古トラクターのところに展示してあるのとよく似た写真が載っていましたので、これらのトラクターは古典的な昔のトラクターとして展示しているのではなくて、現在も使われいるものかもしれないと思いました。

第98回農薬部会セミナーは、東京農業大学醸造学科准教授の矢島 新先生の「有機合成が教えてくれた微生物の巧」と、クミアイ化学工業株式会社の清水 力(つとむ)博士の「除草剤の研究開発と応用研究」という演題の講演がありました。私が現在の農薬部会長ですから、いつも農薬部会セミナーの座長をして講師の紹介をしますが、矢島先生は東京理科大学で博士(理学)号を取得して東京農大に勤務しておられる新進気鋭の研究者で、有機合成化学者です。非常に難しい構造の物質を見事に合成し、それを用いて植物病原菌Phytophthora(疫病菌) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AD%E3%83%93%E3%83%A7%E3%82%A6%E3%82%AD%E3%83%B3 の制御に活用するという内容でしたが、質疑応答の時にフロアから、20~30年前だったらノーベル賞に値する研究だという研究内容を高く評価するコメントがありました。
清水 力博士(農学)は名古屋大学農学部農芸化学の出身ですが、クミアイ化学工業株式会社(水田の除草剤開発に大きな実績がある)の理事・研究開発本部副本部長という要職にある方で、除草剤を中心にした世界の農薬事業の現状、GM(遺伝子組み換え)作物の現状などの紹介に続いて、除草剤の作用点について詳しい説明をされました。私にとっては、特にGM作物がどこまで開発実用化されていて、次に何が目標とされているかの最新情報が得られて、よい勉強になりました。

参加者は約50名でしたが、東京農大の学生もかなりな人数聴講に来ていましたので、折り畳み式の椅子をたくさん通路に並べて対応しました。懇親会後は、いつものように何人かの参加者が前農薬部会長の山本 出先生のご自宅にお邪魔して、ディスカッションの続きを兼ねて二次会の楽しい時間を過ごしました。