2015年8月4日火曜日

7月15日(水)に国立環境研究所主催で行われた公開シンポジウム「ネオニコチノイド系農薬と生物多様性~何がどこまでわかっているか? 今後の課題は何か?~」 https://www.nies.go.jp/whatsnew/2015/jqjm100000062fiy-att/neonicosympo_0706_2.pdf#search='%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E7%92%B0%E5%A2%83%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80%E5%85%AC%E9%96%8B%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%81%E3%83%8E%E3%82%A4%E3%83%89%E7%B3%BB%E8%BE%B2%E8%96%AC%E3%81%A8%E7%94%9F%E7%89%A9%E5%A4%9A%E6%A7%98%E6%80%A7' の4人の講演者の講演要旨が入手できました。

私は実際に聴講していないので、講演要旨から推察することしかできませんが、永井孝志氏(国立研究開発法人農業環境技術研究所)、中村 純氏(玉川大学ミツバチ科学研究センター)、五箇公一氏(国立環境研究所)、日鷹一雅氏(愛媛大学大学院)が、それぞれの専門分野からネオニコチノイド剤について、これまで取り組んでこられた研究から浮かび上がった実態の紹介と問題点の指摘をされたようです。
私自身も千葉大学教授として現職の時は、何年間にもわたって農業現場で使用された農薬が周辺環境の生物相に及ぼす影響について野外調査を繰り返し実施してきましたが、ネオニコチノイド剤というある特定の殺虫剤グループが生物多様性に及ぼす影響を、実験室内(水槽)や条件が単純化されているモデル水田での一時的影響ではなく、環境が連続している実際の野外での長期的影響を評価するのは、いろいろな要因が関与するので難しいだろうなと想像します。

ネットで検索したら、常陽新聞の記者のコメント http://joyonews.jp/smart/?p=9375 をはじめ、多くの方々のコメントが見つかりました。 http://d.hatena.ne.jp/locust0138/20150716/1437065147

農薬は食料を生産する農業で有害生物(病害虫・雑草)から作物を保護するために使用されていますので、単にネオニコチノイド剤だけを取り出して予防原則で使用を規制するべきと主張するだけでは、合意が得られず問題の解決になりません。野外での生物多様性に影響を及ぼしているその他の生物学的各種要因(例えば、耕作放棄水田、暗渠排水の普及と水田の乾田化、灌漑水供給停止による水路の干上がり、コンクリート3面張り水路の普及、家庭雑排水による農業用水路の汚染など)や圧倒的多数を占める兼業農家の増大のような社会的要因などを一つ一つ冷静(客観的)に評価し、その中でネオニコチノイド剤の果たしている役割(農業生産への貢献度、悪影響への貢献度)を見定めた上で、ネオニコチノイド剤をどう規制するか判断すべきだと思います。規制をする場合は、ネオニコチノイド剤に代わる作物保護の代替手段の提案をすることも当然です。
単に規制賛成、反対の主張をぶつけ合うだけでは不毛で、こういうシンポジウムは、何が問題かを提示し、研究者、行政、生産者、消費者などが協力して問題解決に取り組むきっかけを作るという意味で重要だと思います。

今日も猛暑日でしたので、熱中症にならないように午後5時頃から運動に出かけ、江戸川の上流に向かって右岸の堤防を往復2時間ウォーキングしてきました。大きなケヤキの下にイラガの幼虫が落下していましたが、毒針毛が生えていますのでうっかり触ると腫れ上がって大変です。昨日見たのと同じ羽模様のセミが木に留まっていましたが、ミーンミーンと鳴いていましたので、間違いなくミンミンゼミだと確認できました。堤防の下の農家が収穫後の作物残渣と枯草を熊手で集めて燃やしていました。この頃は野焼きは禁止だそうですので、こうやって畑の縁(ふち)で煙や炎を見るのは珍しくなりました。6時を過ぎると太陽が沈み始め、今日は地平線は曇っていましたので、ちょっとの間だけ真っ赤な太陽が見えました。7時過ぎに自宅に戻った時にはすでに辺りは暗くなっていましたので、まだ8月になったばかりですがこの頃どんどん日が短くなっている気がします。