2015年9月9日水曜日

このところ時間に追われてブログの更新ができませんでした。明日から鳥取大学で開催される「松枯れ防除実践講座」に参加するため、明日の朝の飛行機で鳥取空港に飛ぶ予定でしたが、天気予報では台風18号がちょうど中国山陰地方に向かっているとのことでしたので、着陸できない可能性を考えて迷った末にキャンセルして今日の午後の新幹線で約6時間かけて鳥取に入りました。

その前に、千葉県成田市の水神(すいじん)の森(通称甚平衛の森)の枯死した古松の根株の調査を樹木医・松保護士が行うので、朝早く車を運転して現地に行って10時頃まで参加してきました。松くい虫防除用の殺虫剤を年に3回散布し、殺線虫剤の樹幹注入も行っていながらこのところ樹齢260年のマツの大木が毎年枯れるので何とか原因を解明して枯れるのを防ぎたいということで、数人のボランティアの樹木医・松保護士が集まって抜根調査をしました。

根からは食害中のクロカミキリの幼虫が多数採集できました。クロカミキリの成虫からマツノザイセンチュウが検出されたという報告が過去にありますが、マツノマダラカミキリの場合と違って、マツイノザイセンチュウを体内に保持して羽化脱出した成虫が性成熟のために当年枝・1年枝を食害するという行動習性は知られていないようです。雌成虫はマツの木の根元の地面に潜って根に産卵するようです。幼虫、根の材片などを採集しましたので、今からベールマン法で生きた線虫が分離できるか、DNA診断でマツノザイセンチュウ陽性かどうか、樹木医のAさんが調べる予定です。
クロカミキリは、マツノザイセンチュウがすでに何らかの経路でマツの樹体内に侵入して衰弱したマツを選んで幼虫が根を食害するだけなのか、あるいはマツを衰弱・枯死させる原因の一つとして関与しているのか、興味深い課題です。もし原因の一つということになれば、今まで知られていない感染・発病経路です。