2015年10月6日火曜日

昨夜は11時半頃寝たのですが、今朝は4時に目が覚めたので、時差ボケは徐々に調整されつつあるようです。いつものように6時にシャワーを浴びて、ひげを剃って、6時半に1階のロビーの朝食コーナーにいって簡単な朝食を食べました。セルフサービスでコーヒーが好きなだけ飲めるのが何よりで、いつも大きなカップに2杯飲んで、もう1杯は部屋に持って帰って飲みます。

朝の7時前はこちらはまだ外は真っ暗なので、しばらくして明るくなってから近くのSymphony Lake にウォーキングに出かけました。昨日までの雨が止んで秋晴れになって気分がよくなったせいか、あるいはこちらに来てまだ3日目なのにもう体調がよくなったせいか、体がひとりでに走りたくなって、少しジョギングもしましたが、あまり息も切れませんでした。
池の周りの遊歩道には背の高いテーダ松がたくさんありますが、青空に映えてなかなかいい景観です。今日は珍しくハチの巣が落ちていました。昨夜の風雨で木の枝から落ちたのかもしれません。森の中にはハリケーンで倒れた木や伐倒した木がそのまま放置されていますが、色や形が様々な茸がびっしり寄生していて、全て無駄なものはなく循環していることがわかります。
朝陽が斜めに射して、清々しい雰囲気です。
こちらでは、よく森の中や遊歩道にベンチが置いてありますが、ほとんどが個人の寄付で設置されていますので、そういうところはアメリカ人の文化の一部のような気がします。

日本からメールに添付して届いたいろいろな資料に目を通したり、メールの返信を打ったりしましたが、10時過ぎにマージーさんがモーテルに来て一緒にローリー市内のすしつねという日本料理店に行きました。空手の弟子で弁護士だったエベレット君と待ち合わせて、ランチを食べる約束がしてありました。エベレット君は74才で私より1才年長ですが、南部のジョージア州の出身で、私立の名門のエモリー大学(当時は南部のメソジスト教会の信者の男子がほとんどだったとのこと)を卒業し、北部のミシガン州立大学法学部を卒業して弁護士になり、マーチン・ルーサー・キング牧師がアラバマ州から人種差別に抗議して行進をした時に同行した良心派の弁護士でした。

昨年会った時には、ノースカロライナ州のBar Association(弁護士協会)と何か詳しくはわかりませんが妥協できない意見の不一致があって弁護士を止めると言っていました。その後何か別の仕事を見つけようとしたけど、70才を過ぎた年齢では社会は冷たいことがわかったらしく、今はValet(バレイ)Waste http://www.valetwaste.com/ という名前の全米でビジネスを展開している会社に週5日勤務しているとのことでした。この会社は高齢者だけを雇用して、勤務時間を一日3時間(午後8時~11時)だけに制限して(会社にとっては健康保険に加入する負担その他がない)いるのだそうです。仕事は、マンションやアパートの住民のドアの前に置かれたごみの袋を手押しのワゴンに積んで回収して、シューターで1階に落とし、コンパクターという機械で圧縮して処分するのだそうです。iPhone (約$500)を自分で買わされて、ごみ袋の写真を撮って送信するとそれが勤務開始時間として管理され、全部作業が終わった時にまたごみ袋がなくなった写真を撮って送信するとそれが勤務終了時間として管理されるのだそうです。仕事に応募するのも採用されたのも全てiPhoneでのやり取りで、実際に経営者と顔を合わせたことは一度もなく、何か問題が起これば全てiPhoneで報告して、別のマネージャーみたいな人が即座に対応して解決するという仕組みになっているとのことでした。日本でも最近パートタイマーを雇用し易くする法律が話題になっていましたが、アメリカではまるで軍隊組織のような、人間(弱い立場の高齢者)を機械の部品のように管理して、気に入らなかったり役に立たなかったりしたらいつでも解雇できる仕組みが実際に全国規模で展開されているようで、驚きました。
奥さんはまだ女子大学で教育に関わる仕事をしていますが、今まで社会的に尊敬される弁護士だったエベレット君が簡単に言えば廃棄物を回収・処分する清掃員のような仕事を74才になってしていることを軽蔑の眼で苦々しく見ているようですが、エベレット君自身は、お腹の出た体で前かがみになってごみ袋を拾って手押しのワゴンに積む繰り返しの仕事は体力的に厳しい(1時間半ぐらいでつらくなってくる)ようですが、家でじっとしているよりも体を動かして少しでも収入になるということでやっているとのことでした。時給$11(1$=120¥で計算すると1,310円)というのは、娘さんの給料が時給$60(7,200円)相当だそうですから、雇用する経営者にとっては実にうまいビジネスを考え出したものだと思いました。
アメリカの社会がいかに高齢者にとって冷たい(働きたくても仕事がない)仕組みになっているかしみじみ実感したと言っていましたが、エベレット君には何か別の意図があるのかもしれません。人種差別が今でも残っているアメリカでは、こういう仕事は普通は黒人かスペイン語を話す季節労務者が担ってきた仕事ですので、自分で体験してみているのかもしれません。

日本から持ってきた宿題の原稿は、最初の簡単な分がかなり進みましたので、明日には出来上がりそうです。