2015年11月13日金曜日

11月21日(土)の自然保護協会主催のシンポジウム「ネオニコチノイド系農薬の生態系影響」で、私は「農薬問題の解決に必要な視点」という演題の事例報告を20分間ですることになっていますが、昨日・今日とがんばってやっとプレゼンテーションで使う予定のスライドができました。もう一度見直して、明日の朝主催者に送るつもりです。

主催者は、「浸透性殺虫剤(ネオニコチノイドおよびフィプロニル)の生態系影響は確実に存在する。従来の有機リン系農薬と異なり、高い浸透性・残留性があることから、生態系全体に広範に影響」という信念からこのシンポジウムを企画し、その趣旨に沿って基調講演者として、国際自然保護連合(IUCN)浸透性殺虫剤タスクフォース委員長のマーテン・ヴァンレクスモンド氏を招聘しています。
しかし、ネオニコチノイドがCCD(ミツバチの失踪・コロニーの崩壊)の原因と指摘された関係についても、冷静に見直しがされてきた状況下で、上記の前提も検証してみる必要があるように思います。

浸透性殺虫剤はネオニコチノイドだけに特有の性質ではなく、1960年代の有機リン殺虫剤やカーバメイト剤にも多数(例えば、メタシストックス、エストックス、テップ、パラチオン、バミドチオン、アルディカルブなど)ありましたし、残留性も植物体内に分布していれば太陽光の紫外線を照射されないので当然です。

しかしわずか20分で根本的な議論を展開するのは無理ですので、前半の約10分を農薬の必要性と安全性確保の仕組みについて一般論を、後半の約10分を私たちが実際の野外で長年にわたって実施してきた農薬(その中にはフィプロニルとネオニコチノイドのイミダクロプリドも含まれる)の生態影響に関する調査研究のほんの一部の紹介にあてるということにしました。
主催者にとっては想定外(期待外れ)かもしれませんが、私としては、長年の野外調査の蓄積で得られた科学的な事実をプレゼンテーションするしかありません。

シンガポールのCrop Life Asiaから、IARC(International Agency for Research on Cancer WHOの外部組織)の発癌物質の分類に関する資料が送ってきました。つい先日もTIME誌の11月9日号の表紙をベーコンの写真が飾り、ベーコンや赤身の肉なども発癌物質とされたことの「The war on delicious」と題した特集記事が掲載されたばかりです。今からこの問題を私のプレゼンテーションに取り入れる修正が必要ですが、もう時間がないので、明日バンコクに着いてからホテルの部屋で作業をするしかありません。
明日の朝は7時頃自宅を出て、成田空港に向かいます。