2015年12月16日水曜日

名古屋大学には本部がある東山キャンパスの他に、医学部には鶴舞キャンパスと大幸キャンパスがあり、上山(うえやま) 純先生の研究室は大幸キャンパスにありますので、名古屋駅から中央本線で大曽根駅まで行き、そこから徒歩で向かいました。あちこち見ながらゆっくり歩いたら、ちょうど約束の1時半に研究室に着きました。すでに東海コープ商品安全検査センターの斎藤 勲博士と、大学院生一人と、上山先生が集まって待っていてくれました。

上山先生が先ずスライドを使って先生のグループで取り組んでいる研究プロジェクト「尿中殺虫剤代謝物のモニタリング手法を用いた曝露評価法に関する研究」について、詳しく説明してくれました。研究グループのメンバーは、上山先生の他に、名古屋市立大学医学部教授で環境省のエコチル(子どもの健康と環境に関する全国調査 https://www.env.go.jp/chemi/ceh/outline/data/kihonkeikaku.pdf#search='%E7%92%B0%E5%A2%83%E7%9C%81%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%81%E3%83%AB%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88') 名古屋ユニットセンター長でもある上島(かみじま)通浩先生(研究統括)、殺虫剤曝露バイオマーカー・食品由来の化学物質曝露等の担当の斎藤 勲博士、PCO検診等を担当の五藤雅博博士(五藤労働衛生コンサルタント事務所)、PCO検診等を担当の柴田英治教授(愛知医科大学衛生学)、疫学デザイン・統計解析等を担当の近藤高明教授(名古屋大学医学部保健学科)の6名から構成されていました。
元々は、名古屋市が衛生害虫防除で頻繁に殺虫剤散布をするPCO(Pest Control Operator 防除業者)の作業者の健康管理の目的で名古屋市立大学に健康診断と殺虫剤曝露量評価の調査研究を委託したところから発足したとのことでした。現在はPCOに限らず、愛知県の特産のキクの栽培農家(温室内の栽培で頻繁に農薬散布をする)も研究対象にし、殺虫剤も有機リン剤、ピレスロイド剤、ネオニコチノイド剤を分析対象にしていました。
すでに非常にしっかりした研究が行われているので、私が関わる余地はないかなとも思いましたが、やはり医学関係者の研究グループですので、実際に殺虫剤が散布される現場での曝露量に関する情報が不足していて、その点で過去12年間松くい虫防除で散布された殺虫剤(有機リン剤とネオニコチノイド剤)の飛散量と人体曝露量を調査してきた私たちの経験と実績が貢献できる可能性があり、今後尿中代謝物と現場での曝露量と健康影響の3点を結びつける研究を一緒にやろうということになりました。今後の展開が大変楽しみです。

予定をオーバーして打ち合わせ会は4時半までかかりましたが、その後千葉大学園芸学部の作物学研究室を定年退職後名古屋に戻った田代 亨名誉教授に電話をして大曽根駅近くの喫茶店で楽しいひと時を過ごしてから、東京に戻りました。