2016年1月22日金曜日

2日続けて東京農業大学に行きました。今日は総合研究所研究会農薬部会の新年顔合わせの会があり、前部会長の山本 出先生の「農薬デザインへの取り組み」と題した特別講演がありました。
先生は東京大学を卒業後、北里大学勤務を経て東京農業大学に移り、途中米国への2回の長期出張を含めて40年間にわたって有機化学の立場からいろいろな分野の研究に従事してこられましたが、今日の講演時間は僅か1時間半でしたから、それらの中からごく一部の研究について紹介されました。カメムシの臭気成分の同定と害虫防除への利用の試みや、アズキゾウムシやマメゾウムシの性フェロモンに関する化学生態学的研究は、内容がわかり易いということもあって学会だけでなくメディアの注目も集めました。

松くい虫問題が騒がれていた初期の頃には、松枯れの原因がマツノザイセンチュウによるとする林業試験場の意見と、カビによるとする理化学研究所の研究者グループの対立する意見があったのを、健全なマツが放出する3つの揮発性成分(β-pherandrene、β-pinene、α-pinene)の比率が損傷を受けたマツでは特有の崩れ方をするということから、現場の松枯れ木ではマツノザイセンチュウの寄生を受けた場合の比率と一致するということから、マツノザイセンチュウ説が正しいと決着をつけた研究は、現在松くい虫問題に取り組んでいる私には特に興味深く感じられました。
懇親会では、88才になられた先生の米寿のお祝いも兼ねていましたので、花束の贈呈も行われました。