2016年2月10日水曜日

テレビ制作会社ウッドオフィス http://www.wo-gr.jp/w-o/ のM氏から電話があり、私への取材目的はテレビ東京の特別番組「あの事件」で、メディアを賑わした事件の一つとしてイギリス人英語教師リンゼイさん殺害事件を取り上げる予定で、市橋達也君について訊きたいとのことでした。主題は事件そのものなのか、市橋君の逃亡中の生き方なのかはわかりませんが、一応OKしましたので、これからメールで日程を調整することになります。市橋君が事件当時メディアが描いたイメージとは異なり、将来の夢を持ったごく普通のいい若者だったことを伝えられればと思っています。

東京農業大学総合研究所研究会の中の一つである生物的防除部会の2015年度第3回講演会が世田谷キャンパスの食と農の博物館でありましたので、私も聴講してきました。演題1はデュポン(株)農業製品事業部マーケティング部部長の笹島敏也氏による「新ジアミド系殺虫剤サイアジビル®と天敵利用」で、演題2は石原バイオサイエンス(株)営業統括部特販グループマネージャーの森 光太郎氏による「石原産業の生物農薬事業の紹介と天敵アカメガシワクダアザミウマの特性について」でした。
2人の演者ともプレゼンテーション能力が高く、内容的にも大変興味深いものでした。
特に笹島氏は、千葉大学園芸学部の昭和56年(1981年)の卒業生ですから、私がアメリカから帰国して千葉大学に勤務し始めた1978年には学生だった年代ですが、実に冷静に理路整然と時間配分もパーフェクトに、デュポン社が開発したジアミド系殺虫剤の一つであるシアントラニリプロール(サイアジピル®)がいかに優れた殺虫剤で、天敵や訪花昆虫(ハチ類)に対しても影響が小さいということを説明しました。ジアミド系殺虫剤は日本農薬という日本の会社がフルベンジアミド(フェニックス®)を開発したのが最初ですが、その後類似構造のものが次々と開発されて、今やネオニコチノイド剤に続く重要な殺虫剤グループになりつつあるようです。作用機構は昆虫の筋肉に存在するリアノジン受容体に結合してカルシウムイオンを放出して筋肉の正常な活動を阻害することですが、哺乳動物と昆虫の間には大きな選択性があります。ちょっと不思議なのは、同じ昆虫でも天敵には毒性が低いということです。

森氏は、アカメ®と商標登録したアカメガシワクダアザミウマという微小な昆虫の天敵として防除効果に影響する要因一つ一つについて丁寧に説明しました。質疑応答の時間に質問がでましたが、生物農薬の日本での市場は約20億円で、その中のアザミウマ類に対する市場はせいぜい1億円程度の筈で、石原産業のような化学農薬の売り上げが約400億円もある企業が何故そんなに経済効果としては小さい分野にこだわるのかという話題でした。

講演会終了後は、近くの居酒屋で懇親会があり、楽しいひと時を過ごしました。