2016年3月26日土曜日

晴れ渡って気持ちのいい土曜でしたので、昼休みに江戸川堤防を1時間40分ウォーキング/ジョギングしてきました。高齢の女性がビニール袋を片手に斜面にしゃがみ込んで何かを採集していたので、よく見たらツクシでした。
私も子供の頃、母がツクシやノビルのような野草を食べさせてくれたのを覚えています。ネットで調べてみたら、何とツクシとスギナは同じ植物で、ツクシは胞子茎でスギナは栄養茎とのこと、今まで知りませんでした。防除が難しい雑草のスギナと食用になる野草のツクシが同じ植物だったとは、驚きでした。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AE%E3%83%8A

帰りは堤防を下りて、坂川沿いに歩いて松戸神社の横を通ったら、ソメイヨシノの花芽が大きく膨らんで、一部は開花していました。もう間もなくこの辺りでも一斉に開花することでしょう。

農林水産省生産局農業環境対策課から、「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律施行規則の一部改正をする省令案」について、意見・情報受付締切日が3月3日のパブコメがありましたので、タイから帰国して間もない時期でしたが、ぎりぎりの3月2日付けで下記の意見を提出しておきました。http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550002257&Mode=0
この中の以下の「改正の内容」の説明が気になりました。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000139403
役所がパブコメをする時は、すでに結論が出ている場合がほとんどで、意見を提出してもよっぽどのことがない限り役所の方針が変わることはないのが普通だと思いますが、農業資材審議会委員を10年間経験(その中、農薬分科会長8年、審議会長2年)した者として一応意見だけは提出しておくことにしました。

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「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」に関する意見
本山直樹

1.   天然物由来農薬利用技術という用語について

提案されている改正案で施行規則の第1条第3項第7号の「土壌還元消毒技術(土壌中の酸素の濃度を低下させることにより、土壌中の有害動植物を駆除する技術をいう。)」に追加予定の表現「天然物由来農薬利用技術(有効成分が化学的に合成されていない農薬であって、農林水産大臣が別に定めるものを利用する技術をいう。)」は、具体的に何を指しているのかわかり難い。

1)「農林水産大臣が別に定めるもの」という表現からは、(a)従来農薬にも特定農薬にも含まれなかったニーム油製剤や木酢・竹酢液製剤のようないわゆる天然由来の農薬代替防除資材が想定されているのか、(b)あるいは有機農産物の日本農林規格の別表2に掲載されている37資材全部を指すのか、(c)あるいはその中の生物由来の資材だけを指すのか、(d)あるいは今から業者や生産者(農家)が申請する天然物を原料とする防除資材が含まれるのか、筆者には読み切れない。

2)上記表現は、前段で「農薬」という言葉が入っているので、(b)(c)ではないかと想像される。なお、有機農産物の日本農林規格の別表2には「混合生薬抽出物液剤」という資材が含まれていて、実際には株式会社アルムの「アルムグリーン」という植物成長調整剤を指すにもかかわらず、表現が一般的なので誤解を招き、過去に農薬登録も特定農薬指定もないいわゆる疑義資材の各種天然植物抽出液製剤(ほとんどの場合防除活性がないか、活性がある場合は化学農薬や抗生物質が混入されていた)の横行を招いた。

3)一方、生産局農業環境対策課の今回の提案の説明文(平成282月)の中の2. 改正の内容には、「平成27年度の地方分権改革に関する提案募集に対し、天然物質を原料として製造された農薬を利用する技術の追加について提案があり、内容を検討した結果、化学的に合成された農薬の使用を減少させる効果が高いことが認められるため、・・・」という記述があることからは、どういう検討によって化学的に合成された農薬の使用を減少させる効果があることを確認したのか不明であるが、天然物由来農薬利用技術は(a)(d)を指すのではないかとも想像される。

4)法律施行規則の用語としては「天然物由来農薬利用技術」でよいのかもしれないが、「農林水産大臣が別に定めるもの」だけでは具体的に何を指すのかわかり難いので、混乱(農業生産者の誤解、悪徳業者による疑義資材ビジネスの正当化)を招かないようにする必要がある。

2. 持続性の高い農業生産方式の導入の促進の目的・効果について

持続性の高い農業生産方式として天然物由来農薬利用技術の導入によって化学肥料及び化学合成農薬の使用を減少させる効果があるとの記述は、あたかも化学肥料・化学合成農薬を適正に使用する現行の農業生産方式(慣行農業)は環境に悪影響を与え、農業生産方式として持続性が低く、食の安全にも悪影響があるかのような、事実と異なる間違った認識を社会に植え付ける。1950年代や1960年代のような作物保護が化学農薬に過度に依存して環境や健康に悪影響を与えた過去の時代のイメージを使って、持続性の高い農業生産方式の導入の促進の目的・効果を説明するのは適切ではない。慣行農業で使われている現在の農薬は、農水省、厚労省、環境省、内閣府、消費者庁所管の各組織の協力による農薬登録制度で厳しく審査されており、安全性や農業生産の持続性を低くするような大きな問題はない。農水省が、化学農薬が作物保護ならびに食料生産に果たしている大きな役割を否定したり過少評価したり、安全性に問題があるかのような説明をするべきではない。 
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