2016年4月18日月曜日

千葉大学園芸学部緑地環境学科の卒業生で、成田市で造園業をやっている3代目の樹木医の吉岡賢人君から、甚兵衛の森 http://seseragi.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-7269.html の枯死したクロマツの巨木の根株の次回の調査を4月24日(日)(5月15日に変更)に実施するとの案内が届きました。私も前3回の時と同じように参加するつもりです。

前々回の調査の時に枯死したクロマツの根をエアースコップで露出し、クロカミキリの幼虫が多数寄生している太い根の一部を切り出して保管してあります。時期が来てここから羽化脱出してくる雌成虫が、交尾後に地面に潜ってマツの根に産卵することでマツノザイセンチュウが根から侵入・感染してマツを枯死させるかどうか試験をする計画です。
そのために準備してある鉢植えのマツ苗2本の写真が届きました。それに加えて、別に個別にバイアル内に保管していたクロカミキリの幼虫が蛹化したという報告と写真が届きました。
クロカミキリはマツノマダラカミキリと違って、羽化脱出後に性成熟のために当年枝・1年枝の樹皮を後食(こうしょく)する必要はないと言われていますが、どういう条件(環境)を与えれば交尾行動をするのか、私たちには今まで飼育した経験がないのでわからないというところが不安点です。羽化脱出した雌雄の成虫を小さい飼育容器に入れておけばいいのか、大きな網室のような空間が必要なのか、少し林学関係者に訊いたり文献を調べたりしてみようと思っています。
もちろん、羽化脱出してきたクロカミキリ成虫が体内にマツノザイセンチュウを保持しているかどうか、DNA診断で確認することも必要です。

松枯れの原因として、従来マツノマダラカミキリが当年枝・1年枝の樹皮を後食する時にマツノザイセンチュウが樹体内に侵入・感染する経路がよく知られていますが、それとは別の地下部の根系を通しての感染経路が存在することが明らかになれば、その防除対策の開発が必要となりますので、吉岡賢人君らの樹木医グループがやろうとしている調査・試験研究は、松林を守る上で大変重要です。