2016年5月24日火曜日

千葉大学本部のある西千葉キャンパスのけやき会館で、今年名誉教授に推戴された人への名誉教授称号記授与式と、すでに名誉教授になっている人と学長らとの懇談会があり、私も出席してきました。
以前は学長と各部局(学部や研究所など)長から成る評議員会というのがあって、教育、研究、運営などの最高意思決定機関でしたが、何年か前からその上に文部科学省からの指導で理事会という機関が設置されました。従って今日の会でも雛壇(ひなだん)には学長と6名(文部科学省から派遣される事務局長が1名含まれる)の理事会メンバーが並び、格下げされた部局長の席は一般名誉教授と同じフロアに設置されていました。
千葉大学では教授として15年以上勤務して、教育・研究に顕著な功績があった人が名誉教授に推戴されるというルールですが、助教授(現在は准教授)年数が長くて教授年数が短くて15年に足りない場合は、助教授年数の1/2を教授年数に加算するという補正計算も行われている筈です。
配布された資料を見ますと、生存している名誉教授は全部局を合わせて393名で、今日推戴された20名を合わせると413名ということになります。名誉教授になると、実質的に大学内でのいろいろな便宜が与えられるアメリカの制度と違って、日本では名刺に称号が書けるので無職よりは恰好がよいということと、学内の図書館を引き続き自由に使えるという程度です。

懇談会では学長による大学の近況報告と企画担当理事による報告がありました。国立大学には序列があり、1946年以降旧7帝国大学[戦前は台湾大学と韓国の京城(けいじょう)大学(今の国立ソウル大学の前身)を加えて9大学あった]と旧6官立医科大学(新潟大学、千葉大学、岡山大学、金沢大学、長崎大学,熊本大学)が別格扱いでした。それが、2000年以降の大学院重点化大学として基幹13大学が認定された時に千葉大学は含まれませんでした。それが大学の法人化と2004年以降の中期目標・中期計画に基づく法人評価を経て、2016年からは3つのグループに分けて運営費交付金配分方法の見直しが行われることになりました。グループ1は地域活性化・特定分野・重点支援大学として55大学、グループ2は特定分野支援重点大学として15大学、グループ3は世界最高水準の教育研究拠点大学として16大学が認定されました。
千葉大学は念願がかなって、北海道大学、東北大学、東京大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学、東京工業大学、一橋大学、筑波大学、神戸大学、広島大学、金沢大学、岡山大学、東京工業大学と並んで、グループ3の中に入ることができました。

企画担当理事の報告では、世界最高水準の教育研究拠点にするためのいろいろな改革構想が誇らしげに語られましたが、映写されたスライドは半分が欠けていて、そんな簡単な調整もできずに世界最高水準を語る姿が皮肉に見えました。
園芸学部の教授、准教授、助教の今年の年間研究費は一人当たり10万円という馬鹿げた状況で、他の国立大学(法人)も似たり寄ったりという状況を見ると、50年後、100年後の未来を見据えての改革といいながら、私には文部科学省は政治家と結託して日本の高等教育制度を破壊する誤った道を邁進しているように思われてなりません。

2016年春の叙勲者の紹介がありましたが、その中の一人で、瑞宝中緩章を受章された野尻雅美名誉教授は医師でもあり、看護学部教授を定年退職して今年80才になられる現在も介護老人保健施設で施設長をしておられるとのことでした。挨拶の中で、老人にとってはあちこち体に不調があるのは当然なので、「健康第一」ではなく、「QOL(生活の質 Quality of Life)第一」という方針でやっているという話をされました。なるほどと納得しましたが、ご自身が80才なのに、まだ介護老人保健施設でお年寄りのために現役として働いておられるのはりっぱだなと思いました。

演台の横に飾ってあったマツの盆栽は見事でしたが、遠くからは本物かイミテーションか区別がつきませんでした。帰りに見たJR西千葉駅南口のロータリーにはクスノキとケヤキの大木があって、野鳥(多分スズメ)の騒がしい鳴き声が聞こえましたので、都会に生息する野鳥の寝ぐらになっているようでした。