2016年5月8日日曜日

松枯れの主な原因は、マツノマダラカミキリが当年枝・1年枝を後食(こうしょく)する時にマツノザイセンチュウが虫体を離脱してマツの組織に侵入することによるということは林学関係者の長年にわたる研究で確立された科学的事実ですが、それ以外にも、根系の癒合によってマツノザイセンチュウが枯死木の根から隣接木の根に侵入して感染を拡大する場合や、クロカミキリの雌成虫が地面に潜って根に産卵する時に感染がおこる可能性も指摘されています。
私たちは、地面を掘り起こさずに根系癒合の有無を判断する方法として、仮導管の中の水がつながっていれば電気的な抵抗値を測定できないかという考えで、今年の1月に直流のテスターを用いて大学の研究圃場のキンモクセイを使って抵抗値を測定してみました。その結果、1本の幹でも、根が共通の別の幹でも、測定点間の距離と抵抗値の間に一定の関係が認められました。
そこで今年の3月には三保の松原に行って、松くい虫被害で伐採されたマツの根株と根株の間、あるいは根株と隣接する生立木の間で、同様の関係が得られるか測定してみました。その結果、距離と抵抗値の間には一定の関係は見られませんでした。根が癒合していたかどうかが不明だという問題の他に、千葉大学工学部電気科卒の友人に、直流の電気を流すと電気分解が起こって抵抗値は変化する筈だという指摘を受けました。
そこで、テスターの製造メーカーに相談したところ、交流の電気を流してインピーダンスを測定するLCRメータと4端子プローブをデモ機として無料で2週間貸し出してもらえました。天気予報では明日から3日間は雨模様ですので、12日(木)に測定の仕方を覚えることを兼ねて、メーカーの人の立会いの下で大学の研究圃場の生立木を使って予備試験をする予定です。うまくいけば、再度三保の松原に出かけて根株-根株間、根株-生立木間でインピーダンスを測定してみるつもりです。

昨夜遅く、千葉大学園芸学部花卉園芸学研究室の古い卒業生(1987年卒)で、学部の空手部員でもあった富山昌克君からメールが届き、明日の朝8:30-8:55のNHK Eテレ(2ch)で「趣味の園芸」という番組の~コチョウランの植え替え~に出演するという知らせでした。今朝時間にテレビをつけてみたら、新潟県の植物園の人のボタンとシャクヤクの話と、富山君のコチョウランの話が放送されていました。彼は学生時代から明るい性格でしたが、すっかり園芸(特にラン)の専門家になって、視聴者にわかり易く説明していました。かれこれ30年前の卒業生ですからもう50代になっている筈ですが、こうやって卒業生が社会で活躍しているのを見るのは嬉しい限りです。