2016年6月15日水曜日

朝9時に成田市から1時間半かけて松戸まで来てくれた樹木医の吉岡賢人君の車で三保の松原のある清水市に行きました。約3時間で市内に着きましたので、魚市場の近くの食堂でランチを食べて、ちょうど午後1時になるように清水区役所に行って治山林道課の新任の職員に挨拶をし、若干の情報交換をしました。前任のベテランの職員2名が同時に移動になってしまったので、不慣れのようでしたが、夜中にクロカミキリ調査で三保の松原を懐中電灯を持ってウロウロすることの了解を得ました。偶然、静岡市役所の観光交流文化局文化財課三保の松原保全活用推進室に移動になった前任者の釼持 章氏が清水区役所を訪ねてこられて出会いましたので、挨拶をしましたら、これからも私たちの調査で得られた結果を知らせてほしいと言われました。

吉岡君は三保の松原は初めてでしたので、最初に日本平を車で上って日本平ホテルの庭から三保の松原全体を見下ろしました。あいにく曇天でしたので、富士山は雲に隠れて今日は全く見られませんでした。庭のすぐ下の斜面に造られた茶畑は緑色が綺麗でした。
それから明るい中に調査場所を下見するために、日本平を下りて三保の松原に行き、神の道や羽衣の松の辺りや、三保グラウンドゴルフ場の周囲、東海大学研修会館入口の辺りを歩き回って確認しました。
あちこちに看板が立っていましたが、今年は松くい虫防除の無人ヘリコプターによる第1回目の散布が6月7日~8日の3日間実施されたようでした。

クロカミキリ成虫は夜行性なので、清水市内に戻ってファミリーレストランでチョコレートパフェを注文して時間潰しをし、夕方6時半に調査地点①の三保グランウンドゴルフ場周囲に行きました。吉岡君が早速、2本の伐倒根株に挟まれた生立木の株元でクロカミキリ成虫を1頭見つけました。それ以外はまだ明るいので活動が見られませんでしたので、少しウロウロして時間を潰して、7時20分頃に調査地点②の東海大学研修会館入口の伐倒根株と生立木がかたまってある場所に移動しました。
ここには最近伐倒された根株と生立木がかたまってありますが、伐倒根株の周辺と生立木の幹の胸や目の高さぐらいの樹皮上から多数のクロカミキリ成虫が見つかりましたので、根株周辺のも全部合わせると50~60頭捕獲しました。特に太い1本の木の幹からは捕獲しても捕獲しても次から次に見つかりましたので、何か誘引物質でも放出されているのかと想像しました。暗い中で写真を撮って、明るい時に撮った写真と比べたら、部分的に枝枯れしている木と同じ木のようでした。

三保グランドゴルフ場に戻ってみたら、今度はクロカミキリ成虫が活動していて、10数頭見つかり捕獲しました。
羽衣の松の周辺にも行ってみましたが、全く見つかりませんでした。釜ヶ崎遊歩道の近くには伐倒根株がありますので、そこにも行ってみましたが、クロカミキリ成虫は全く見つかりませんでしたので、発生は場所によって振れがあるということがわかりました。

クロカミキリ以外のカミキリ成虫も1頭幹の樹皮上で見つかり、伐倒根株上にはウバタマコメツキもいました。
三保の松原では伐倒根株で繁殖したシロアリが周辺住宅に飛んで行って被害を与えないように、シロアリの密度を下げるためにという理由でシロアリ防除剤を施用していますが、皮肉にも防除済のラベルが貼ってある根株にイエシロアリが繁殖していたり、もう一つの根株上にはイエシロアリの羽蟻と職蟻が群がっていました。薬剤の施工方法に問題があるのか、残効性に問題があるようです。

午後8時半頃には、湾の対岸の電気が点灯してちょっとロマンチックな景色でした。私たちは三保の松原でも場所によっては多数のクロカミキリ成虫が発生していることを確認できましたし、これからマツの大苗に接種してマツノザイセンチュウの侵入・感染の再現試験ができる十分な個体数が捕獲できたことで、大満足で帰路に着きました。私が松戸の自宅に着いたのは夜中の11時20分ぐらいで、吉岡君が成田市の自宅に着いたのは多分夜中の12時を過ぎていた筈です。

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