2016年7月5日火曜日

昼休みには大学の道場で空手の稽古を1時間しました。少し喉がいがらっぽくて体調が万全ではなかったこともあって、あまり力が入らなかったので、軽めの稽古にしましたが、いつものように基本の突き・蹴り・受けの他に、筋力トレーニングを少しと、巻き藁叩きとサンドバッグ蹴りだけは一通りやりました。
孫たちの食事その他の世話でヘトヘトになっている妻(バーバ)を見ると、老夫婦にとって孫は可愛いけど世話をするには長期間は無理で限界があると感じます。私(グランドパ)はただ見ているだけですので、楽しいだけですが。

明日の有機JAS認証検査員の研修会では、疑義資材についても講義してほしいと要望されていますので、スライドを何枚か追加して補強しました。ちょっと古い資料ですが、有機農業で使用可能な資材等の中で、有機JAS規格で許容されている肥料と土壌改良資材のリストを見ると実に多様なものが含まれていて、これらを検査しなければならない検査員の役割は大変だなと思ってしまいます。
http://www.japan-soil.net/report/h23tebiki_04.pdf#search='%E6%9C%89%E6%A9%9F%E8%BE%B2%E6%A5%AD%E3%81%A7%E4%BD%BF%E7%94%A8%E5%8F%AF%E8%83%BD%E3%81%AA%E8%B3%87%E6%9D%90%E7%AD%89p.247'

比較的最近(2015年11月)、太平洋物産という会社の秋田県工場で生産し、JA全農が約4万トンも販売した有機肥料に虚偽記載(成分偽装)が発覚して、何十億円という補償(請求)問題が起きて倒産に追い込まれるという事件がありました。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151110_43019.html
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201604/20160416_43050.html
http://www.maff.go.jp/j/fs/fertilizer.html
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201511/20151111_43014.html
http://n-seikei.jp/2015/11/post-33360.html
http://www.asahi.com/articles/ASHDC5SDHHDCUTIL02M.html
http://www.shindan-akita.com/business-know-how-304

私の担当は肥料ではなく防除資材(農薬)ですが、検査員にとっては、有機農業適合防除資材と謳いながら、実際は農薬(化学農薬も生物起源農薬も)が混入されている疑義資材をどうやって見破るかは大変な問題なのでしょう。有機適合の判定を下して、後で偽装資材だったということがわかって有機認証を取り消される生産者(農家)が出た場合は、莫大な金額の損害賠償(補償金)を請求される可能性も考えられます。
有機認証機関というのは自分たちの研究室を持っているわけではなく、提出された書類のチェックと現地視察で本物か偽物かを見分けなければならないのですから、大変難しい仕事です。以前の、アバメクチンが混入されていたアグリクールという資材のように、農水省(FAMIC農薬検査部)ですら分析をしたけど見破れずに、後で大騒ぎになった事例もありました。

私がこういう問題に取り組み始めたのは1993年~1994年頃ですから、ずい分昔のことで何年か後には別の研究課題に移りましたので、私の古い実績に基づく講義が果たしてどれだけ役に立つかどうか・・。
私の昔の原著論文の別刷りはもう必要ないだろうと思って少数部数だけ残して大半は捨ててしまいましたが(家が狭くて保管する場所がない)、植物防疫という雑誌に依頼されて書いた「疑義資材の見分け方」という拙文(植物防疫第64巻第8号p.560-563、2010年)だけは押し入れにまだたくさん残っていましたので、今日持参して研修会に参加する検査員の人たちに挿し上げようと思っています。