2016年7月23日土曜日

昨日一緒にランチを食べに行く前にノースカロライナ州立大学のRoe教授の研究室に寄ったら、ちょうど何人かの大学院生、ポストドクとセミナー室でパソコンから論文の一部をスクリーンに映写して投稿予定の論文のタイトルが適切かどうか議論をしているところでした。私はもう現役を引退して何年も経ちますので、最近は学会誌も読まなくなりましたので、懐かしい思いで議論を聴いていました。
その後、Roe教授がHodgson教授と共著で発表した論文について話してくれたことがちょっと気になりました。ヒトの肝臓の継代培養したSecondary Cellではなく、Primary Cell(交通事故などで亡くなったヒトから採取した肝臓から直接調整した細胞)を使って、蚊の忌避剤としてよく使われるDeetと、農業用だけでなく家庭のペットや芝生用にもよく使われる殺虫剤のフィプロニルの影響を調べたところ、ホルモンの生合成に関わるチトクロムP450の遺伝子発現調節に影響があることがわかった、つまり一般家庭でヒトがばく露する可能性が高いこれらの化合物は内分泌かく乱物質(Endocrine Disruptor)の疑いがあり、両者を同時投与すると相乗効果があるという結果が得られたというものです。細胞を使った実験と実際のヒトのばく露とは当然別次元の話ですが、具体的にどういう実験をしたのか、添加した濃度はどの程度だったのかなど知りたいので別刷りがほしいと言ったら、プリントされた別刷りはないが電子版の論文はあるので送ってくれるということになりました。

今朝は5時半にモーテルを出発して近くのRegency ParkのSymphony Lakeにウォーキングに出かけ、ICコーダを持参して小鳥の鳴き声を録音してきました。アオサギに似たサギが池の中の昨日と同じ場所に佇んでいました。

午前11時にMargieさんが迎えに来て、私の車で一緒にHilton Garden Innというホテルに行きました。Walter Jr. 君の偲ぶ会(Celebration of Life)は12時から始まり、Dauterman先生の奥さんの親戚や、Walter Jr.君の高校時代の友人や先生や、シカゴ大学時代の友人やUniversity of North Carolina(UNC)の法学部時代の友人などたくさんの人たちが参加していました。弟のJohn君とその奥さんのBonnieさんが主催者ですので、最初の挨拶をした後、何か話したい人はどうぞということで、いろいろな人が次々にWalter Jr.君との思い出を話しました。私も最後に、一番遠く(日本)から参加した者として、Dauterman家と本山家の47年にわたるつながりを話しました。特に、Dauterman先生は私よりちょうど10年上ですが、ユーゴスラビアに住んでいたドイツ人で、先生が3歳ぐらいの時にチトー大統領の共産党革命で迫害を受けた両親と一緒にアメリカのニュージャージー州に移住したという背景と、私の家族も当時植民地だった朝鮮(今の北朝鮮)から終戦で日本に引き揚げてきたという背景がよく似ていることと、家も財産も何かあれば全部失うけれど教育だけは一生なくならないということで、両親が子供たちにいい教育を受けさせようとしたことがよく似ているという話をしました。また、先生が21年前に63才で亡くなって以来、奥さんのBarbaraさんは次男の住んでいるオレゴン州に移ってお墓参りも遠くてなかなかできなくなったので、私が毎年ノースカロライナ州に来る時にお墓参りをしてお花を取り換えてきて、これからも可能な限りそうするつもりだと話しました。
食事と歓談の時間になったら何人かの人が私のところに来て、お世辞もあるのでしょうが、私の話したことは全て非常によかったと言ってくれましたので、思い切って話してよかったと思いました。

夕方は大学の近くの映画館でMargieさんと一緒にStar Trekという映画を観ました。昔人気のあったテレビドラマで、当時の俳優たちはもう大半が亡くなっていますが、何人かはよく似た俳優を使って製作した映画です。何年か先の宇宙時代の話ですが、Regency ParkやLake Johnsonで毎日動物や植物を見ながらウォーキング/ジョギングができる今の時代に生きていてよかったと思いました。

帰りにノースカロライナ州立大学のメインキャンパスに寄ってみました。大きな図書館や昔の学生会館の建物はそのまま残っていましたが、私がいた当時4階建ての円形で特徴的な建物だった講義棟が取り壊されている最中でした。少しずつ変わっていくのでしょう。
大学構内にはOak Treeの巨木が何本も残っていますが、これは日本のナラの木ではなく、シラカシの木に似ていて、幹の樹皮が比較的平らで細長い葉を付けていました。

Margieさんは先週の今日空港に迎えに来てくれて以来でしたので、毎年ノースカロライナ州に来る時は寄っているスシツネというお寿司屋に寄ってお礼も兼ねてお寿司のディナーをご馳走してあげました。