2016年7月24日日曜日

ノースカロライナ州立大学のRoe教授と会った時に、私が現在も現役として取り組んでいる松くい虫問題について気になることを提案されました。マツノザイセンチュウがマツノマダラカミキリを介して松に侵入して松を枯らすことは確立された科学的事実ですが、マツノザイセンチュウがどうやって松を枯らすかについては定説が確立されていません。Roe教授は、最近の研究で昆虫の16S rRNA(細胞のリボゾームの小サブユニットのRNA塩基配列)解析で、
https://ja.wikipedia.org/wiki/16S_rRNA%E7%B3%BB%E7%B5%B1%E8%A7%A3%E6%9E%90 
共生しているバクテリア(細菌)がいろいろな働きをしていることが明らかになってきたので、マツノザイセンチュウでも共生しているバクテリアが松を枯らしているのではないかという推察です。
マツノザイセンチュウには多くの微生物が付着していて、それが枯死の原因である可能性についてはすでに研究が実施されていたと記憶していますが、帰国したらどういう研究がされたのかもう一度見直してみたいと思います。分子生物学の進歩で新たなことがわかるようになってきましたので、松の枯死のメカニズムと線虫と共生しているバクテリアとの関係についても再検証してみる価値はあるかなと思いました。

朝はいつものように5時半にRegency ParkのSymphony Lakeにウォーキングに行きました。Walmartで買ってきた測量用のひもひと巻とインチとcmの両方が書いてある巻尺(金属製)とマスキングテープとノートと鉛筆を買い物袋に入れて持参し、松の巨木の胸高直径を測定する(円周=2πrを使って換算)ために、胸高幹周りを測定しました。ひもの端をテープで固定して一回りし、ひもの長さを巻尺で測定するというやり方です。樹高を測る道具はないので、ひもを1mの長さに切って、幹の地面から1mの高さにテープで固定して、樹冠部が見えるところまで離れた位置から写真を撮って、プリントした写真から1mのひもの長さの何倍あるかで推定するという方法です。いつも一緒に調査研究をしている研究者仲間にメールで問い合わせたら、元森林総研の田畑勝洋博士から返事がきて、幹の前に2mの長さの棒を立てて樹冠部まで何本分あるかで推測するという方法があるとのことでしたので、だいたい同じ方法かなと判断しました。胸高直径に係数を掛けて推定するという方法もあるそうですが、Lake Johnsonで観察してみると、直径が大きく異なっても樹高はほとんど同じ松もありますので、同じ場所(環境)で遺伝的に同じ種類の松でしか使えないのではと思います。
こちらはサルスベリの花があちこちで満開ですが、今までは赤と白と薄紫の3種類だけかと思っていましたら、濃紫色の花が咲いている木もありました。

日本に木材保存剤の審査で少し問題になっている件について、私は安全性審査部会の座長ですのでコメントを送ったりしました。昼の時間にはFrank君とMargieさんが訪ねてきて、Margieさんが作ってくれた昼食を3人で食べました。
夕方の時間には私はいつものようにLake Johnsonにウォーキングに行きました。今日は100°F(約38℃)を超えるぐらいの高温で湿度も高くて蒸し蒸しする危険な天候でしたが、大きな松の胸高直径と樹高の測定をしたりしながら2時間半歩き回りました。Oak Treeの日本のシラカシに似ている木は、幹が日本のよりもちょっとざらざらしていると思いましたが、よく見たら枝の方は日本のシラカシとそっくりでしたので、単に大木・巨木になった幹の樹皮がざらざらしているだけなのかもしれません。赤ちゃんのような可愛らしいテーダ松の実生も生えていました。

汗びっしょりになってモーテルに戻ったらMargieさんが来ていて、夕食を作ってくれていました。シャワーを浴びてから、ファーマーズマーケットに寄って買ってきたベーコンや野菜類を使って料理をしてくれた夕食を2人で美味しく食べました。やはり外のレストランで食べるよりも、家で作ってくれた温かい食事は一番です。
食事後、今回は私の滞在期間が短くて会いに行けない遠方に住んでいる友人たちに電話をして話をしました。元人権派弁護士で空手の弟子だったEverret Nolandさんは、昨年来た時は弁護士資格を失って、Raleigh市内で高層の集合住宅のごみ袋を回収する仕事をしていましたが、その後奥さんもMeredith Collegeという女子大学で教える職から引退して、Raleighにあったタウンハウスは売却して海岸の小さな家に引っ越していました。Everretさんは確か私より1才年長の筈ですが、今は海岸の田舎の町のグロッサリーショッピングセンター(食料品店)で、カートを押して商品を補充する仕事をしているとのことでした。お蔭で25ポンド(10Kg以上)体重が落ちて、コレステロールを下げる薬など2種類飲まなくてよくなり、健康になったと言っていました。やはり人間は何才になっても、できる範囲で体を動かすことが重要だなと思いました。