2016年8月26日金曜日

東京駅8:56発の東海道新幹線こだま641号に乗ってシンポジウムの開催される静岡に向かいました。指定席がとってあったのですが3列の座席の真ん中でしたので、自由席車両の乗車口に並んで富士山が見える側の窓側の席に座りました。
途中、雲がかかって富士山が見えない場所もありましたが、ずっとカメラを構えて待っていたらはっきり見える場所もありましたので、シャッターを何回も押したら何枚かよく撮れた写真がありました。

会場の静岡県男女共同参画センター「あざれあ」の大会議室で11:00から事前打ち合わせと、パネルディスカッション出演者の顔合わせがありました。コーディネーターは現場の問題に詳しい静岡県病害虫防除所の古木孝典氏、パネリストには私の他に消費者代表として静岡県消費者団体連盟会長の小林昭子氏、生産者代表として富士宮市の野菜農家石川久男氏、研究機関代表として静岡県農林技術研究所の片山晴喜博士でした。総合司会はタレント(多分、元テレビのアナウンサー)の久保ひとみ氏で、笑顔が素敵な若い女性でした。
小山昭子さんとは、私と年代が近い(2~3才下だそうです)せいで、終戦後の食料難の時代を体験してきて、衛生害虫防除で畳の下にDDTの白い粉を敷いたり、頭髪に直接まぶしたりといった共通の経験をしてきたということで話が弾みました。
石川久男さんは静岡大学農学部卒で、野菜(現在は主としてトウモロコシ、ブロッコリ)、胡蝶蘭、観葉植物などの栽培をして、二人の息子も後継者として農業をやっているという方でした。トマトの水耕栽培で有機液肥(そんなものがあるとは知りませんでした)を使っていたが、今は一部化学肥料の液肥を使っていると話しておられました。有機農業で化学肥料の代わりに使う堆肥でも、植物の根が吸収する時は分解されて無機物になっている筈ですので、有機液肥と化学液肥と何が違うのだろうと思いました。木酢液やニームオイルのような天然農薬の安全性について、私の話を聞いて今まで信じていたことと違うので驚いていました。輸入農産物(特に中国からの)は残留農薬が危険なので国産農産物を食べてほしいと訴えようとしていましたが、輸入農産物も輸入商社が関わって安全管理をしているし、厚労省の統計でも国産品と輸入品の間に残留農薬の検出率に差はないという事実に驚いて、これからは差別化は安全性ではなく新鮮さの違いで訴えると言っていました。最近は周辺に耕作放棄地が増えて、耕作を依頼されるので、さらに規模拡大をしているというお話は現場の実情をよく表していると感じました。
私の基調講演は大体予定通り、時間をオーバーせずにできました。後で、静岡県職員に農薬について県民から質問をされた時にスライドを使わせてもらってもいいかとの打診がありましたので、私の準備したスライドは現場で農業を指導している県職員にも役に立ったのだと思いました。どうぞ自由に活用して下さいと答えておきました。

パネルディスカッション後の参加者との質疑応答でもいろいろな質問がでましたが、やはりメディアの影響で刷り込まれが起こっていて、農薬の安全性について誤解が多いという印象を受けました。シンポジウム閉会後、多くの人が話かけに来てくれましたが、昔農水省の農業資材審議会で一緒だった元静岡県職員の池田二三高氏(当時、林野庁の意向を受けて農水省が木酢液を特定農薬に指定しようとした時に、悪臭公害の元だとピシャリと言って反対した)や、私の研究室の卒業生(女子学生)で今は静岡県経済産業部農業局勤務のO君らと久し振りに再会できて懐かしく思いました。

懇親会の途中で打ち合わせ通り私の携帯に連絡がありましたので、私は退席して「市橋達也君の更生を支援する会」の幹事3人と別の場所で久し振り(2年振りぐらい?)にお会いして、楽しい時間を過ごしました。9時頃3人は静岡駅からそれぞれの帰宅の途につき、私は予約してあった駅前のホテルで宿泊しました。