2016年9月10日土曜日

せっかく青森県まで行ったので、どこか松くい虫被害がない海岸松林を見たいと思って県職の人たちに相談してみたら、最近侵入が見つかって講座でも取り上げられた日本海側の深浦は車でも片道3時間ぐらいはかかるだろうということでしたので諦めました。地図を見たら東北新幹線はやぶさが通る途中の八戸(はちのへ)駅で降りてレンタカーを借りれば、太平洋側の種差(たねさし)海岸の淀(よど)の松原に行けることがわかりましたので、そうすることにしました。
昨日は台風13号が低気圧に変わって雲が立ち込めて岩木山は頂上が見えませんでしたので、今日はと期待しましたがやはり駄目でした。千葉県ではもうほとんどの水田では稲刈りが済んでいる筈ですが、新幹線の車窓から見る北東北ではまだ黄金色の水田が広がっていました。

八戸駅で途中下車して駅の観光案内所で八戸市の観光案内地図をもらい、レンタカーを借りて種差海岸の天然芝生地まで行きました。駐車をして、淀(よど)の松原の遊歩道を深久保漁港を越えて白浜漁港まで往復3時間半ぐらい歩きました。途中1本だけ陸側の崖の上に枯死進行中のマツを見つけましたので、近づいて幹の産卵痕や幼虫の存在を示すフラスがないかどうか確認したいと思って崖を何とか登りましたが、崖の上は全く管理されていない藪(やぶ)で、棘(とげ)のあるタラの木や茨(いばら)も生えていて、元の遊歩道に戻るのに道に迷いそうになり大変でした。Gパンと半袖のシャツを着て運動靴を履いていましたが、手袋もいつも持ち歩く手斧か鉈(ナタ)もナイフもありませんでしたので、何回も転んで、あちこち棘に刺されて、やっとの思いで崖を下りて元の遊歩道に戻ることが出来ました。幹にはマツノマダラカミキリの産卵痕に似た傷口がありましたが、これだけでは何とも言えません。できたらもう一度ちゃんと準備をして道具を持って出直してきて、材片を採取してDNA診断でマツノザイセンチュウ陽性かどうか調べてみたいなと思いました。もし陽性だったら、青森県では太平洋側の海岸松林に初めての松くい虫侵入事例になりますので、県の担当者に連絡して拡散しないように伐倒駆除をする必要があります。持参していたカメラはGPS機能付きではありませんでしたので緯度経度の測定はできませんでしたが、深久保漁港まで250m、白浜漁港まで250mという道標が立っている場所の近くでしたので、再度訪問すれば位置はわかると思います。
しかし松戸から八戸までは遠いし、交通費もかかるのでどうするかちょっと考えてみようと思います。

台風の影響か幹が途中から折れている木や根元から倒伏している木も何本かありましたので、これらの衰弱木がマツノマダラカミキリを呼び込む可能性があるとしたら、伐倒して除去するのは大変だなと思います。しかしマツノマダラカミキリの成虫の発生時期は6~8月で、9月の発生はきわめて少ない筈ですので、リスクは大きくないのではと想像します。
遊歩道から見ると、海の中に隆起したような岩があちこちにあり、マツが生えています。潮風に当たり、波もかぶり、たいした栄養分もないようなところで生えるのですから、マツは大したものです。これも菌根菌との共生のお蔭だとしたら、こんな岩の上にいる菌根菌も大したものです。

帰りの新幹線の中では左右の足が何回もつりましたので、相当負担がかかったのでしょう。Gパンの布があっちこっち棘に引っ掻かって、切れた糸がほぐれていました。