2016年10月16日日曜日

甚兵衛の森を守る会の樹木医の吉岡賢人君から、鉢植えのマツ大苗にクロカミキリ成虫を接種した試験の結果報告が送ってきました。これまでの試験結果から、(1)クロカミキリ成虫は地面に潜って根に産卵し、(2)孵化幼虫は根を食害し、(3)地上部の針葉の一部を黄化させ、(4)幹の樹脂滲出異常(減少)をもたらし、(5)枝先からは線虫が分離される、というところまでわかりました。あとは、分離した線虫がDNA診断でマツノザイセンチュウ陽性を示し、最終的にこの大苗が枯死に至れば、体内にマツノザイセンチュウを保持したクロカミキリが根からマツノザイセンチュウを侵入させてマツを枯らすことがあり得ることの初めての証明になります。吉岡君の継続した緻密な観察と、樹木医仲間を集めて協力を得たことのすばらしい成果ですので、これからの展開が楽しみです。
もしそうだとすると、今までの松くい虫対策の(1)予防散布によるマツノマダラカミキリ成虫の防除、(2)殺線虫剤の樹幹注入による枝先から侵入したマツノザイセンチュウの防除、(3)松くい虫被害木の伐倒駆除による次世代の発生源除去だけでは不十分で、クロカミキリによる根からのマツノザイセンチュウの侵入・感染を防除する対策が必要ということになります。

今日も約2時間江戸川堤防にウォーキング/ジョギングに出かけました。
園芸学部の作物学の研究圃場の緑肥植物には、昨日見たチョウの他に2種類のカメムシが来ていました。生垣に絡みついているカラスウリの実は赤く熟していて、秋を感じさせます。江戸川に行く途中の家の庭には、花の形が違う2種類のクチナシが植えてあって、時期には側を通る時に甘い良い匂いがします。今は開花の時期ではない筈ですが、時期外れの白い花が一輪だけ咲いていました。顔を近づけたら、ちゃんといい匂いがしました。

江戸川河川敷ではススキとセイタカアワダチソウが混在しているところが結構あることに気がつきました。セイタカアワダチソウにはAllelopathy(他感作用)があって、根が分泌するcis-DME(シスデヒドロマトリカリエステル)という物質が他の植物の生育を阻害するとのことですので、元々河川敷で優先種だったススキと混在しているのは、地下部で行われている植物間の目に見えない競争の微妙なバランスの結果かなと想像しました。すでに植物学分野や雑草学分野の研究者が研究済みでしょうが、私も現職だったら地面を掘って根の分布状態などを調べてみたい気がしました。
http://www.ne.jp/asahi/agricola/nobui/report/solidago.html

昨日・今日と松戸神社の御祭礼が行われていましたので、私もウォーキング/ジョギングの帰路江戸川堤防を下りて、旧水戸街道と松戸神社に寄ってみました。松戸神社の氏子(うじこ)が存在する町会ごと(1丁目、2丁目、3丁目、宮前、山下、など)に、神輿を担いで歩く渡御(とぎょ)と、最後は松戸神社に戻る宮入が行われていました。昔から引き継がれている行事で、男も女も老いも若きも参加してコミュニティ意識を高める日本の文化のひとつですから、Frank君に見せられなかったのは残念でした。