2017年1月20日金曜日

東京農業大学総合研究所研究会農薬部会の新年顔合わせの会と特別講演が、世田谷キャンパスの「食と農の博物館」でありました。
農薬部会を発足時の30数年前から築いてこられた山本 出先生が、先ず年頭所感のご挨拶をされました。昨年島根大学で開催された日本農薬学会大会の帰りに寄られた姫路城で描かれたスケッチのコピーを配り、石垣は下から順に積まれ、大きな石だけでなく小さな石も隙間を埋めていくのに重要な働きをし、やがて石垣を築いた人たちはいなくなっても石垣は残ると話されました。



特別講演は京都大学名誉教授の二井一禎先生が、「マツ枯れに見られる複雑な生物間相互作用」という演題で、素晴らしいお話をされました。私たちは、マツが枯れるのはマツノマダラカミキリが媒介するマツノザイセンチュウが枯らすと単純化して考えがちですが、実際は寄主マツ、菌類、マツノザイセンチュウ、マツノマダラカミキリという4つの因子の複雑な相互作用が関わっているということでした。
枯死メカニズムについては、寄主の抵抗反応が寄主の細胞の死を招き、それが細胞内容物の漏出、仮導管への流入、水分通導不全、萎凋枯死に至るという説明を、仮説として提唱されました。定説のような断定的な話し方ではなく、仮説として提唱されたところに先生の科学者としての厳密さと慎重さが表れていると感じました。

懇親会の後、いつものように山本 出先生のご自宅で講師を囲んで二次会が行われて楽しいひと時を過ごしました。