2017年6月16日金曜日

昨日の浜村徹三博士の講演では、もう一つ印象に残ったことがありました。植物防疫第68巻第12号p.70のコラム予察灯に掲載された浜村徹三「カブリダニ利用上における二つの懺悔(ざんげ)」のコピーを配布し、浜村博士が犯した2つの間違いについて言及したことです。
一つは、実験室内の恒温室でチリカブリダニとケナガカブリダニを飼育した実験結果から、これらのカブリダニは30℃を超えると発育できないと結論したが、実際の栽培現場では初夏のイチゴ親株や苗床でカブリダニが天敵として卓効を示したり、初夏のガラス室のナスでも天敵として有効だったので、暑さのためにカブリダニを利用できないというのは間違いだったと気がついたとのこと。高温・恒湿条件で得られた結果と、実際の現場の変温・変湿の環境では生物の生存や活動能力は異なるという教訓です。
もう一つは、気門封鎖剤のカブリダニへの影響について、回転式散布塔を使って散布実験の結果から影響がないと結論したが、動力噴霧器を用いて気門封鎖剤が大量に散布される実際の現場では、カブリダニ雌成虫がコロコロ死ぬのを目撃したので、やはり一定条件下で一定量を散布する室内実験の結果を現場に当てはめるのは危険だと気がついたとのこと。ただし、カブリダニ放飼前にハダニ密度を下げるために気門封鎖剤を散布することは問題ないとのこと。

松くい虫防除に予防散布は効果がないと主張した研究者や、飛散もしていない(場合によっては散布もしていない)農薬が体調不良の原因と決めつけた医師らは、科学者としての良心に基づいて自らの主張を検証してもらいたいものです。

またしばらく運動ができませんでしたので、今日は夕方5時頃から江戸川堤防から水元公園Bブロックに行って2時間ウォーキン/ジョグングしてきました。園芸学部の生協前広場には新しい就職ガイダンスの看板が立っていました。
水元公園Bブロックの権八(ごんぱち)池の前のベンチに腰かけて、夕陽が沈むのを眺めました。