2017年6月20日火曜日

松くい虫防除政策の失敗で松林の大半が消滅した千葉県で、ある程度面として松林が残っているのは富津岬の松林、稲毛海浜公園の松林、鴨川シーワールド近くの松林、銚子の君ヶ浜ぐらいかなと思っていましたが、先日視察に行った銚子の君ヶ浜では実際には大きな松はほとんどが枯死して伐倒されていることがわかって認識を改めました。鴨川も本当に大丈夫か気になりましたので、見に行ってきました。

国道410号(久留里街道)を南下すると、途中の山本地区辺りで圓明院(えんみょういん)の推定樹齢1,000年の大カヤの看板が目に入りましたので、立ち寄ってみることにしました。榧(カヤ)については、昔千葉大学の現職の時代に宮崎県の綾(あや)というところの碁盤製造工場を訪ねた時に、碁盤を作るのに一番適した木はカヤで、近くの畜産農家が蚊が家畜の吸血をしにくるのを防ぐためにカヤの木屑をもらいにきて、畜舎の周りを囲んで燻(いぶ)しているという話を聞きました。その話を私の研究室の卒業生にしたら、早速何かで調べてくれて、カヤという名前は蚊遣り(かやり)が語源で蚊に対する忌避活性か殺虫活性が昔から知られているらしいと知らせてくれました。当時、これは面白いと思って園芸学部構内にある榧(カヤ)の木を見つけて、生理活性物質を探索するための第一段階として確かイエバエ成虫(当時の私の研究室では蚊を飼育していませんでしたので)を用いて生物検定をしてみましたがそう簡単にはうまくいかなったことを思い出しました。
圓明院の境内のカヤの木はりっぱで、よくこんな大木が残っているなと感心しました。








国道410号をさらに南下すると、5月27日~28日に君津市の豊英(とよふさ)という山村の玄武庵で千葉大学空手部の同期会をやった時に付近を散策して見つけた豊英(とよふさ)湖の赤い橋を渡ります。崖の下の湖面の際に釣舟センターがあり、一度乗ってみたいと思っていましたので、ここにも立ち寄ってみました。管理建物は無人でしたが電話番号が書いてありましたのでどうやってボートを借りられるか訊いてみたら、入り口の壁に空いている郵便受けのような隙間から3,000円を投入すればよいと指示されたのでそうしました。支払いは自己申告制のようですが、駐車場にはすでに15台ぐらいの車が駐車していて、ボートに持参した電気モーターとバッテリーを積み込んでブラックバスや平鮒(ヒラブナ)釣りに出ているようでした。
私は釣りが目的ではないので、オール1本でゆっくり漕ぎながら湖面から周囲の新緑の景色を眺めて堪能しました。湖面にカエルの卵みたいなブヨブヨした大きな塊がいくつもあったので、調べてみたら北米から侵入してあちこちに分布拡大しているオオマリコケムシPectinatella magnifica という名前のコケムシの一種のようでした。多くの個体がブヨブヨした卵のような物質の中に生息しているらしく、気持ちの悪い生物でした。













途中から県道34号で鴨川に行きました。千葉県南部林業事務所の裏の辺りは広場東海岸というらしく、マツの砂防林がありほとんどが比較的若い細い木でしたが、1本も枯れているマツはありませんでした。樹幹注入剤施工済票が貼ってありました。









国道128号線を挟んで向かい側には須賀神社があり、看板の由緒を見るとかなり古い神社らしく、大きなマツが何本も残っていました。境内で出会った地元の年配の男性と話をしたら、中が空洞になっているので強風で倒れでもすると危ないので伐倒することを検討しているとのことでした。
手水(ちょうず)舎も古く、瓦1枚1枚に寄進者の刻印が記されていました。屋根が低いのは創建当時の日本人の身長に合わせてあるのかもしれないとのことでした。
拝殿も本殿も宮大工の匠の技でしょうが、木を組み合わせて見事なデザインに仕上げてありました。
貴重な文化財なので、巨樹も建物も何とか保存してほしいものです。