2017年11月15日水曜日

東京の海運クラブの2階ホールで全国農薬協同組合(全農薬)第52回総会・全国農薬安全使用者協議会(安全協)第40回全国集会が開催され、私も招待されましたので出席しました。
全農薬宇野 彰理事長、安全協橋爪雅彦会長の挨拶に続いて、議事、日本経済新聞社編集委員吉田忠則氏による「日本農業の行方について」と題した特別講演、来賓祝辞があり、いつものように全員によるスローガン唱和で閉会となりました。
スローガン:〇農薬は正しく使って安全・安心、〇農薬は作物守る科学の力、〇農薬の技術向上、日々研鑽
その後、情報交換会(懇親会)があり、終わって地下鉄に乗るために会場の外に出たら周辺の高層ビルの電気の明かりがキラキラしていて、いかにも都会の真ん中にいるという感じがしました。

吉田氏はジャーナリストらしく、豊富な取材経験に基づいて、絞った話題について見事な話術で話を展開して聴衆の興味を湧かせました。スライドの右半分に写真を1枚載せて、左半分に文章で要点を簡単に記述するという手法も見事でした。農業はどんどん変化して動いているという主張は説得力がありました。
聴衆のほとんどが農薬関係者だったということと関係があるのかどうかはわかりませんが、「農薬と化学肥料は悪なのか?」と題したスライドは、意表をついていて面白いと思いました。普通は、有機農業をしている人たちは、農薬・化学肥料を使う慣行農業に対して差別化するために、有機農業は「安全」「美味しい」「環境にいい」ということをセールスポイントにしますが、茨城県のカリスマ有機農家の言葉として、それらはいずれも勘違いだという主張を紹介しました。有機だから「安全」「美味しい」「環境にいい」というのではなく、有機でも慣行農業でも、作物をどう栽培するかで「安全」「美味しい」「環境にいい」は決まるのだという主張は、その通りだなと思いました。手間のかかる有機農業を「手打ちうどん」に例えて、「手打ち」だから美味しいのではなく、うどんをどう打って、どう料理するかが味を決めるのだというのはわかり易い例えでした。

私にとって最大の収穫は、情報交換会の席で植物防疫課長の島田和彦氏に、ドローンは水田や畑地における農薬散布にはすでに実用化されているが、果樹と樹木には使えないので、公園の樹高25m以上のマツの松くい虫防除に使えるようにしてほしいと要望したところ、現在でも問題はない筈だとの回答を得たことでした。もしかしたら、こういうことを所管している一般社団法人農林水産航空協会(農水協) http://www.j3a.or.jp/ が文書を読み違えて自ら手を縛っていたか、あるいは最近ルールが変わった可能性がありますので、確認してみようと思います。公園樹木の消毒にドローンが使えるようになれば、散布作業者の暴露軽減という意味でも周辺環境への飛散防止という意味でも、大いに貢献できる筈です。