2017年11月18日土曜日

早稲田大学CERI連携講座「化学物質リスク評価の国際動向2017:生活の安全を科学する」の中の「農薬の安全性確保」を昨年に続いて担当依頼されていました。講義は13:00-14:30に早稲田キャンパスの3号館で実施予定でしたので、少し早目に行きました。
https://www.waseda.jp/inst/nanolife/assets/uploads/2017/08/2017CERI.pdf#search=%27%E6%97%A9%E7%A8%B2%E7%94%B0%E5%A4%A7%E5%AD%A6CERI%E9%80%A3%E6%90%BA%E8%AC%9B%E5%BA%A7%E3%80%8C%E5%8C%96%E5%AD%A6%E7%89%A9%E8%B3%AA%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%AF%E8%A9%95%E4%BE%A1%E3%81%AE%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%8B%95%E5%90%912017%EF%BC%9A%E7%94%9F%E6%B4%BB%E3%81%AE%E5%AE%89%E5%85%A8%E3%82%92%E7%A7%91%E5%AD%A6%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%8D%27

1年振りの早稲田大学構内は活気に溢れた印象を受けました。地下鉄東西線早稲田駅から歩いて行った南門の両側や正門の両側には立て看板がたくさん並んでいました。昨年の講座は8号館で実施されましたが、今年は3号館で開催され、3号館もりっぱな高層の講義棟でした。内部にはエスカレーターがあり、以前講義をしたことがあるお茶の水駅近くの明治大学でもそうでしたが、私立大学の建物は国立大学の機能だけの建物と違って、デザイン的にもまるでデパートの内部のように洒落ています。
ちょうど今朝の朝日新聞に、「食品の産地を気にしますか?」というアンケートの調査結果が掲載されていました。どういう人が調査対象かとか、年齢構成とか、母集団の大きさに関する情報はありませんでしたが、全員を対象にした回答が1,387人という数字から多分1,500人ぐらいだったのではと想像しました。気にすると答えた87% の人にその理由を尋ねた質問に対して、「農薬や添加物に敏感」は809人で第2位でしたので、あいかわらず農薬の安全性に関して不安感を持っている人が多いことを示す根拠として、急遽「農薬に対する社会的バッシング」のスライドの後にスライドを1枚追加しました。

受講登録したのは早稲田大学の学生(大学院生)2名を含んで21名だったようですが、大半は化学に関係した会社の社員(社会人)でした。私の担当した講義には遅刻者や欠席者もいました。質疑応答にあてようと思っていた時間がなくなった以外は大体計画した通りの講義が出来ました。次の講義までの休み時間に受講生と名刺交換をし、質問を受け付けましたが、青森県から来ているらしい(東京駐在?)女性から予想もしなかった質問が出ました。
農薬の安全性は、人間の代わりにラットやマウスのような実験動物を使って一生涯に相当する2年間(ラットの場合)農薬を餌に混ぜて食べさせる試験が行われているという説明に対して、食べるものによって代謝や排泄は異なる筈なので、人間と同じようにご飯とみそ汁と魚に農薬を混ぜてラットに食べさせる試験をやってくれるところはないのか、そうでなければ安心できないという趣旨の質問でした。そういう試験をやってくれるところはない筈ということと、飼料会社が研究・開発したラットの成長に適した飼料に農薬を混ぜて食べさせることに問題はないと答えましたが、人間が食べるのと同じご飯を食べさせなければ納得できないという趣旨の主張を繰り返していました。
投与媒体によって試験物質の体内での挙動や代謝・排泄が多少の影響を受けることはあり得ますが、食生活は国(例えば、アメリカと日本)によっても違いますし、人間が食べるもの全てに農薬を混ぜてラットに食べさせることは実際問題として不可能ですし、その必要性もありません。この受講生の場合は農薬の安全性は信用できないという結論が初めから決まっていて、その根拠としてラットに人間が食べるのと同じ食事を食べさせていないということに固執しているようでした。多分、有機農産物の流通か何かに携わっている人で、自分たちの商品の差別化のために農薬を使った慣行栽培農産物は安心できない(危険)という主張を続けたいのではないかと想像しました。

午後4時半からは浦和高校の同期生(第13回生)の同窓会が計画されていましたので、講義終了後そのまま早稲田駅に向かって、電車を乗り換えてJR京浜東北線の北浦和駅に行き、駅からは歩いて浦和高校の麗和会館(同窓会館)に行き、開会の時間までに到着できました。100人近い同期生が参加し、昔懐かしい面々と楽しいひと時を過ごしました。同期生約400人の中ですでに物故者が約50人ですが、参加した者の中にも首が動かなくなった人や、歩くのが不自由になった人や、杖をついてずいぶん老人のようになった人もいました。75才という年齢になると、健康状態に大きな違いが生じるようです。概して、趣味でも仕事でも何か生きがいを持って活動している人は元気がいいような気がしました。浦和高校3年生の時に同級だったT君は、埼玉県庁職員を定年退職後、さいたま市(旧与野市)にある彩の国さいたま劇場で蜷川(にながわ)幸雄(2016年に80才で没)演出のシェークスピア劇に出演している俳優になっていて、生き生きとしていました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9C%B7%E5%B7%9D%E5%B9%B8%E9%9B%84
http://www.asahi.com/topics/word/%E8%9C%B7%E5%B7%9D%E5%B9%B8%E9%9B%84.html