2017年12月20日水曜日

東京都江東区新砂にある公益財団法人日本住宅・木材技術センターで、平成29年度第2回木材保存剤等性能審査委員会の安全性部会が10:00~12:00に、性能審査委員会が13:15~15:15に開催されました。私は安全性部会の主査ですので、両方に出席しました。
このセンターは地下鉄東西線の南砂町駅で下車して、徒歩20分ぐらいのところにあります。駅前では高層ビルの工事が行われていました。駅前の別の工事現場には壁面緑化花壇があり、工事現場を囲む垂直の壁には吸水性の苔みたいなものが埋め込んであって植物が植えてありました。ドリップ式の灌水装置も設置してあり、自動的に灌水される仕組みのようでした。
途中の生垣には、真っ赤な実が付いている木が植栽されていて、葉の形状から判断してソヨゴと呼ばれる庭木のようでした。





センターの入り口を入ってすぐの1階のフロアの壁には樹齢700年の巨大なクスノキの板が展示してあり、いつ見てもりっぱだなあと感動します。伐採される前はどんなにか威風堂々とした姿だったろうと想像します。
住宅・木材技術センターだけあって、至る所に木が使ってあって、それぞれ木の名前のラベルが表示してあります。会議室の壁に使われているクロマツのツキ板には面白い模様が浮き出ていました。











今回の審査対象品目は、三井化学アグロ株式会社が製造した土壌処理用防蟻剤エクスガードSC(有効成分は同社が開発したメタジアミド系殺虫剤のブロフラリニド)1件だけでした。この化合物は農薬としても登録申請中ということで、安全性については十分な試験データがそろっていました。哺乳動物に対するLD50は>5,000mg/kgで、昆虫のGABA受容体に作用してクロライドイオンの神経細胞への流入を阻害する作用を有するとのことですので、選択毒性の機構が哺乳動物と昆虫間の受容体との親和性の違いに基づくのか、解毒活性の違いに基づくのか興味深いところです。また同様にGABA受容体に作用する従来の殺虫剤と抵抗性が交差するのかどうかも気になるところです。
新規の木材保存剤として、防蟻性能面でも安全性面でも問題ないという審査結果でしたが、今後新規農薬としても農業害虫防除に世界的に大きな貢献をすることが期待されます。