2018年10月22日月曜日

朝、エベレットの家の中の物置スペースを見たらいろいろな農薬やネズミ昔風の簡単なネズミ捕りまで置いてありました。除草剤のラウンドアップ(有効成分はグリホサート)があったので、サステイナブルアグリカルチャー(持続性農業=有機農業に近い)の活動グループに参加して支援をしている奥さんのアンに、グリホサートは最近IARC(国際がん研究機関)に発がん性Ⅱグループに分類されて問題になっているということを伝えたら、そのことをよく知っていて、自分はポイズンアイビー(皮膚かぶれを起こす植物)に敏感なのでそれを枯らすために使っているとのことでした。
合成ピレスロイドのペルメトリンもあり、近くに住んでいる友人のDr. Tom Teepyが開発に関わった筈だと言いました。これについては後で触れます。





Frankの娘のJenniferとその夫のWill(William)とボートに乗る約束の時間の11時まで余裕があったので、エベレットがFrankと私をDr. Tim Teepyの家に連れて行って紹介してくれました。水路(Intercoastal Waterway)に面した素晴らしい家に奥さんと二人で住んでいました。植物病理学が専門で、私がノースカロライナ州立大学にいたのと重なった時期に大学院生で、何と当時農水省の農業環境技術研究所から留学に来ていた八重樫 博博士が師事していたエーベー先生が指導教授だったということがわかりました。八重樫博士は千葉大学園芸学部植物病学研究室の出身で、当時イモチ病菌の有性世代を作り出すという画期的な研究をした人です。ただエーベー先生の研究室にいた時期は少しずれていたらしく、八重樫博士のことはご存知ないようでした。
家の中の窓からの眺めも、外の庭からの眺めも素晴らしく、Marsh(湿地)の向こう側の水路を行き来する小舟(多分エビを採るボート)が見えました。ボートの発着場につながる桟橋を歩くと、カニが水中を歩いているのが見え、Marshの植生をエロージョン(浸食)から守るために水中に金網の籠で囲ったカキ(牡蠣)殻がMarshと平行に設置してありました。
この辺りは至る所Marshだらけで蚊の幼虫(ボウフラ)の格好の繁殖地なので、蚊の防除に飛行機で合成ピレスロイド剤のペルメトリンを飛行機で空から撒こうという計画に対して、生態系への影響の不安から反対の声があがったそうです。Dr. Tom Teepyは農薬会社その他で勤務し、今から約25年前に53才で退職したそうですが、反対派の住民に対してペルメトリンの安全性について講演をしたことがあるそうです。彼の主張は、水と魚だけ入れたガラスの水槽の中では魚毒性が高くても、Marshのような実際の野外では底質があるのでペルメトリンのような親油性の高い化合物は底質の有機物に吸着されるので魚毒性は低くなり、生態系への影響も小さいということのようでした。他のアメリカ人に訊いても、恐ろしいウイルスを媒介する可能性がある蚊に刺されるよりは、少々生態系に悪影響があっても農薬散布で蚊を防除する方を選ぶという答えでした。
















11時頃ボートハウスに移動し、JenniferとWillはすでにボートを保管しているボートハウスから水路に移して私たちを待っていてくれました。日本のヤマハ製の225馬力のモーターが付いていました。他のボートを見ても、ほとんど全部がヤマハ製のモーターで、確かアメリカ製のEvanrudeというモーターが付いているボートは一艘だけ見ました。昔はMercuryというのもあったと記憶していますが、これだけヤマハ製のモーターが普及しているのは予想外で驚きました。トヨタやホンダの車と同じで、それだけヤマハが努力して素晴らしいモーターを製作して信頼を勝ち取ったということなのでしょう。
水路沿いの景色を楽しみながら隣のMorehead Cityの公共船着き場に行って、レストランの屋外テーブルで昼食を食べましたが、ハエ(ほとんどはイエバエ)が多いのには悩まされました。見かねたウェイトレスがお皿にClove(ちょうじ)というハーブの木の実がたくさん挿してあるレモンを乗せてテーブルに置き、ハエに忌避効果がある筈だと言っていきました。お皿やレモンに早速ハエが留まっていましたので、忌避効果は全くないことが明らかでした。粘着シート(ハエ取り紙)や集合フェロモン入りベイト剤などもっと効果的な防除方法があるにもかかわらず、レストランのオーナーはレモンとハーブは天然物で安全という業者の宣伝に惑わされているのでしょう。
FlorenceとMichaelという2回のハリケーンであちこち相当な被害が出たようですが、船着き場の桟橋が壊れていたり、屋根が飛ばされたりしていました。
ボートを降りてからもう一度エベレットに電話をし、奥さんのアンが関わって支援をしているというUnderground Farm & Learnning Centerというサステイナブルアグリカルチャー(持続可能な農業)活動をしているところに連れて行ってもらいました。あいにくすでに5時を過ぎていましたので鍵がかかっていて誰もいませんでしたが、周りから中の様子を見学することはできました。堆肥をとるためかアヒルも飼っていました。外の畑には何かの野菜が少しだけ栽培してありましたが、とても商品にはならないような貧弱な様子でした。
アンがインターネットからプリントしてくれた資料 https://carteretlocalfood.org/our-farm/ に載っているURLを開くと https://carteretlocalfood.org/ ホームページが出てきますが、結局日本の地産地消運動のように地元の小さな農家が生産した野菜類を買って支援しいという活動(CSA: Community Supported Agriculture)のようです。大企業がビジネスとして大規模栽培している農産物との差別化の方法として、農薬はBT剤やスピノサッドのような微生物由来のものを使って、肥料は化学肥料の代わりに堆肥を使って、食品としても環境にとってもより安全なものという主張をしているようです。それが今年は2回のハリケーンの影響もあってほとんど収穫物がないので、2018年度は消費者会員の募集中止に追い込まれているようでした。

夕方5時半頃Beaufortを発って、モーテルに着いたのは夜の8時半頃でした。モーテルの上空には満月が出ていました。
エベレットの家にいた犬のCamは家族の一員のように振る舞っていましたが、元々はSPCA(Society for Prevention of Cruelty of Animals 動物虐待防止協会)を訪ねて、ごみの缶に捨てられていた2頭の子犬をAnimal Resucue(動物救出)施設が心臓の寄生虫駆除をして1頭が死んで、生き残った1頭をもらい受けてきて育てた犬とのことでした。犬にとっても貰い手がいなければ安楽死させられるところをエベレット夫婦に救われて子供のように育てられて幸運でしたが、実の子供たちがすでに成長して家を離れて独立して老夫婦だけの生活をしているエベレット夫婦にとっても、非常にありがたい存在の役割を果たしているとのことでした。